最高裁裁判官国民審査、罷免率が過去2番目に高い水準に
衆議院議員総選挙と同時に実施された最高裁判所裁判官の国民審査において、対象となった裁判官2人は信任されたものの、有効票に占める罷免票の割合(罷免率)が13.94%となり、過去2番目に高い数値を記録しました。近年、選挙の投票行動に影響を与えるとされるソーシャルメディア(SNS)が、国民審査にも波及した可能性が指摘されています。
審査の仕組みと今回の結果
国民審査では、対象裁判官の氏名が投票用紙に記載され、罷免を求める場合にはその氏名の上に「×」を記入します。有効票の過半数が罷免票となれば、裁判官は罷免されます。今回は、2024年10月の前回審査以降に任命された高須順一氏(66歳、昨年3月任命)と沖野真已氏(62歳、昨年7月任命)の2人が対象となりました。罷免率は高須氏が14.15%、沖野氏が13.73%でした。
1949年の第1回審査以来、今回を含めて延べ198人が審査を受けていますが、罷免された例は一度もありません。罷免率の過去最高は、1972年に審査を受けた行政官出身の裁判官の15.17%で、官僚時代の発言への反発が影響したとされています。今回の2氏は就任から1年以内であり、物議を醸すような司法判断や発言は特に見当たりませんでした。
SNSの影響と専門家の見解
それにもかかわらず罷免率が高止まりした背景には、SNSの存在が大きく関わっているとみられます。近年、国民審査で罷免投票を呼びかける投稿がインターネット上で注目を集めており、今回も「忘れずに×を付けよう」といったメッセージが相次いで拡散されました。
国民審査制度に詳しい西川伸一・明治大学教授は、この傾向について次のように分析しています。「SNSを通じた呼びかけが加速すれば、将来的に罷免が現実になる可能性も否定できません。有権者は司法を身近な問題として捉え、十分に吟味した上で投票すべきです。同時に、司法が国民の信頼を得るためには、最高裁裁判官もより緊張感を持って職務に当たる必要があるでしょう。」
国民審査は、司法に対する国民の監視機能を果たす重要な制度です。今回の結果は、SNSが政治や司法への関心を高める一方で、情報の吟味や冷静な判断の重要性を改めて浮き彫りにしました。今後の動向が注目されます。