スペースX、宇宙都市構想で月面を優先 マスク氏が火星計画を5~6年後に延期
スペースX、宇宙都市で月面優先 火星計画は5~6年後

米宇宙企業スペースXの最高経営責任者であるイーロン・マスク氏は、同社が掲げる宇宙での都市建設について、火星よりも月面を優先する方針を明らかにしました。この発表は、約半世紀ぶりの有人月面着陸を目指す企業間競争が激化する中で行われ、月面開発に経営資源を集中させる戦略を示しています。

月面開発への焦点

マスク氏は、人類の火星への移住を長年目指し、火星都市構想を発表してきました。しかし、9日にX(旧ツイッター)への投稿で「まず月に焦点を当てる」と強調し、火星都市の建設は5~6年後に始めると表明しました。この方針転換は、宇宙開発の現実的な課題を反映したものと見られています。

火星と月の比較

火星への打ち上げ機会は26か月に1回に限られ、片道で6か月かかるため、都市建設には20年以上を要するとマスク氏は説明しています。一方、月への打ち上げは10日おきに可能で、片道は2日程度で済むため、10年以内に都市を建設できると述べました。この違いが、月面開発を優先する理由の一つとなっています。

アルテミス計画との連携

スペースXは、米国が主導する有人月探査「アルテミス計画」において、2028年までに予定されている月面着陸に使用する大型宇宙船「スターシップ」の開発を進めています。米航空宇宙局(NASA)は同社と計約40億ドル(約6000億円)の契約を結んでいますが、開発は遅れている状況です。

国際競争の激化

トランプ政権は、2030年までの有人月面着陸を目指す中国に対抗するため、同業他社のブルーオリジンにも機体開発を促し、競争を促す考えを示しています。これにより、月面開発をめぐる国際的な競争がさらに激しくなることが予想されます。

マスク氏の発表は、スペースXが宇宙都市構想を現実的なステップに移すための戦略的調整を示しており、月面開発が今後の宇宙探査の焦点となる可能性を高めています。この動きは、科学技術の進歩と国際協力の重要性を浮き彫りにしています。