川崎市民の情報紙「ナンバーゼロ」44年の歴史に幕 4月に最終号
神奈川県川崎市で長年にわたり市民活動の情報を伝え続けてきた情報紙「ナンバーゼロ」が、2026年4月発行の317号となる「2026年春号」をもって終了します。創刊から44年に及ぶ歴史に幕を下ろすことになり、関係者からは惜しむ声が上がっています。
時代の変化で紙媒体からオンラインへ
発行元のかわさき市民活動センターによると、終了の背景には紙媒体から情報を得る人の減少が大きく影響しています。最盛期の2007年には毎月5万部を発行し、町内会を通じて隔月で全戸配布していましたが、直近では年4回各1万部の発行にとどまっていました。
配布方法の変更も廃刊の遠因となりました。従来は町内会が配布を担っていましたが、担い手不足を背景に、市内の公共施設で自由に持ち帰ってもらう方式に変更しました。しかし、この変更により市民の目に入る機会が減少し、読者層の拡大が難しくなったのです。
「自分が産んだ子どものよう」 編集担当者の思い
同紙の取材や編集に長らく携わってきたセンター職員の人見雅子さん(65)は、「自分が産んだ子どものよう」と終了を惜しみます。人見さんは「手に取ってもらえるように題字の色やレイアウトを工夫し、中身も読み物中心に改めたが」と悔しさをにじませています。
「ナンバーゼロ」という名称は、ゼロから始まり「市民に役立ち、大きく広がることを願って」名付けられました。1982年10月発行の第1号では、国鉄川崎駅(当時)で進む東口広場地下街工事の様子を伝え、地域の変化を記録してきました。
市民活動の変遷を伝え続けて
同紙は市内ボランティア団体の活動やイベント情報を中心に、常に市民活動という切り口から世相を伝えてきました。2011年6月の195号では、東日本大震災に関連した記事を掲載。福島第1原発事故でとどろきアリーナ(同市中原区)に開設された避難所に身を寄せた88人の様子や、発災時に市内ボランティア団体がいち早く被災地に駆けつけたことなどを報じています。
新型コロナ禍では、対面でのボランティア活動が難しくなった状況を受け、普及しつつあったオンライン会議の方法や機材について紹介するなど、時代に即した情報提供を続けてきました。
今後はSNSで「市民の今」を伝える
最終号は、これまでの歴史を年表で振り返る内容となる見込みです。同じく編集などに携わるセンター職員の佐藤紀子さん(47)は「市民活動は楽しくカジュアル化している。今後、SNSでの発信など伝える方法が変わっても、市民の今をおもしろく伝えていきたい」と話しています。
センターでは今後、交流サイト(SNS)などオンラインでの情報発信に軸足を移す方針です。紙媒体としての役割は終えますが、デジタル時代に合わせた新たな形で川崎市民の活動や情報を伝え続けていく構えです。