村田吉弘氏が語る「ZEROCO」の革新性 雪下野菜の原理で食材鮮度を長期保持
京都の老舗料亭「菊乃井」の三代目主人である村田吉弘氏は、食の技術の進歩に注目し、自店でも積極的に取り入れている新たな食材保管庫「ZEROCO(ゼロコ)」について語った。この技術は、低温・高湿環境を安定的に維持することで、生鮮食品の長期保存を可能にする革新的なシステムである。
第三の鮮度保持技術「ZEROCO」の特徴
ZEROCOは、冷蔵庫でも冷凍庫でもない「第三の鮮度保持技術」として開発された。庫内の温度を約0度、湿度を100%弱に保つことで、従来の技術では難しかった安定した環境を実現している。村田氏は、「これにより、生鮮食品の保存期間が大幅に延びた」と説明する。
具体的には、イチゴやレタスなどの野菜類は約2か月、ナシは半年以上、ブリなどの鮮魚類も3週間ほど保存が可能だという。個体差はあるものの、結露やカビの問題も抑制されており、食材の品質を高いレベルで維持できる点が特長である。
雪下野菜の原理を応用した技術
この技術の原理は、雪下野菜に由来する。雪下野菜とは、冬の豪雪地帯で雪の下に貯蔵・栽培される野菜のことで、凍らない環境で保存されるため、細胞が守られてみずみずしさを保ち、甘みも増すとされる。村田氏は、「ZEROCOは、この雪下野菜の原理を応用したものや」と語り、自然の知恵を現代技術に活かす重要性を強調した。
冷凍品質の向上とドリップ現象の抑制
ZEROCOには、鮮度保持以外にもう一つの機能がある。庫内で十分に冷却した食材を通常の冷凍庫で冷凍しても、冷凍焼けやドリップ現象(うま味や栄養を含んだ水分が流出する現象)が起こらない点だ。水や氷の特性に関する研究に基づき、解凍時の品質劣化も防げるという。
村田氏は、ZEROCOを手にしながら、「食の技術が進んでいます。ええなと思ってうちの店でも取り入れている」と述べ、和食の世界におけるイノベーションへの積極的な姿勢を示した。この技術は、食材のロス削減や品質向上に貢献し、持続可能な食文化の実現に寄与することが期待されている。