名古屋城木造復元事業、3年ぶりの市民説明会を開催
名古屋市は2月11日、名古屋城天守閣の木造復元事業に関する市民向け説明会を中村区役所で開催しました。これは2023年の市民討論会で差別発言問題が発生し、事業が停止して以来、実に3年ぶりとなる初めての説明会です。広沢一郎市長も出席し、約140人の市民が参加する中、事業の現状と今後の方向性が説明されました。
差別発言問題後の初めての説明会
説明会では、名古屋城総合事務所の担当者が、2023年6月に発生したバリアフリーに関する市民討論会での差別発言問題の背景を詳細に説明。この問題を受けて市は事業を一時停止し、検証委員会による最終報告を受けた後、昨年5月に再発防止策を含む今後の方針を「総括」としてまとめていました。
担当者は「事業の再スタートにあたっては、史実性とバリアフリーを両立させた復元を計画しています」と強調。今後の調査や検討については、有識者や関係者の理解を得ながら丁寧に進めるとともに、市民の理解促進や機運醸成にも取り組んでいく方針を示しました。
広沢市長「オール名古屋の体制で」
広沢一郎市長は説明会で、「名古屋の誇りである名古屋城跡の本質的価値を、次世代に確実に引き継いでいくための大事な事業です」と述べ、事業の重要性を改めて強調しました。さらに、「行政のみならず、議会、市民の皆さんの心を一つにするオール名古屋の体制で進めていくことが不可欠だ」と訴え、市民の理解と協力を求めました。
市側はこの説明会で、事前に寄せられた質問にのみ回答する形式を採用。これについて、車いす利用者らの市民団体「名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会」の斎藤縣三共同代表は、終了後に「市側の一方的な説明に終始しており、従来のやり方と何が変わったのか分からない」と疑問を呈しました。同代表は「建設的な対話ができる場をつくってほしい」と要望しています。
今後の進め方と課題
名古屋市は、木造復元事業の進捗に合わせて、今後も定期的に説明会を開催していく方針です。しかし、差別発言問題後の信頼回復と、史実性とバリアフリーの両立という難しい課題への対応が求められています。
今回の説明会は、単なる情報提供の場にとどまらず、過去の課題を乗り越え、市民との対話を深める重要な第一歩となりました。名古屋市は、市民の声を丁寧に受け止めながら、歴史的価値と現代的なアクセシビリティを調和させた名古屋城の復元を目指していくことになります。