日本郵便の不適切点呼問題、全国1862局で3333台の車両停止処分に発展
国土交通省が日本郵便に対して実施した車両停止処分が、2026年2月10日に一区切りを迎えた。運転手への点呼が不適切だったとして、昨年10月から順次科されてきた行政処分の結果、全国の1862郵便局で計3333台の配達車両が動かせなくなった。不正の発覚から約1年を経て、異例の大規模処分が完了した。
発端は兵庫県の郵便局、緊急調査で全国に拡大
問題の発端は兵庫県のある郵便局だった。運転手への点呼を数年間にわたって実施していなかったことが昨年1月に発覚し、日本郵便近畿支社が管内の郵便局を調査した結果、8割で点呼が不適切であることが判明した。この事態を受け、朝日新聞が昨年3月に報じたことを契機に、全国の郵便局を対象とした緊急調査が実施されることとなった。
点呼の重要性と法的義務
貨物自動車運送事業法は、事業者に対して乗務前後の運転手への点呼を義務づけている。健康状態や飲酒の有無、薬の服用状況などを確認し、記録簿に残すことが求められており、大事故につながる予兆を見逃さないことが目的だ。国土交通省はこの点呼を「安全輸送の要」と位置づけており、怠った場合には最悪、運送事業許可の取り消しという行政処分が科される可能性がある。
日本郵便の内部資料には、「当社事業の根幹を揺るがす由々しき事態」との危機感が記されていた。点呼を実施せず、記録を偽造する行為が横行していた実態が明らかになり、組織全体のガバナンス不全が浮き彫りとなった。
処分の影響と今後の課題
今回の車両停止処分は、物流業務に一定の影響を与えることが懸念される。日本郵便の社長は、繁忙期を乗り切れるとの見解を示しているが、実際の業務への影響は今後も注視が必要だ。また、この問題はフリーランス法違反の調査にも発展しており、公取委による規模最大の調査になる可能性が指摘されている。
不適切点呼問題は、単なる手続き違反ではなく、安全輸送の基盤を揺るがす重大な事例として、運輸行政における再発防止策が求められている。日本郵便は、再発防止に向けた具体的な改善策を早急に示すことが期待される。