名古屋市は2月9日、生活保護受給者の金銭管理を支援する事業において、重大な不適切管理が発覚したと発表しました。受託事業者の支援員が関与し、利用者14人の銀行口座から合計827万円が所在不明となっています。
事業者による被害届と補償の取り組み
事業者は、支援員に業務上横領の疑いがあるとして、名古屋・中村警察署に被害届を提出しました。同時に、現金を引き出された利用者への謝罪と補償を迅速に進めていることを明らかにしています。この事態は、社会的セーフティネットを支える制度における管理の脆弱性を浮き彫りにしました。
不適切管理の詳細と発覚の経緯
問題とされるのは、「NPO法人ささしまサポートセンター」(名古屋市中村区)に所属する40代の男性支援員です。市やNPOの調査によると、昨年8月にこの支援員が担当する利用者の出納表に記載のない出金が確認され、所在不明金の存在が判明しました。
男性支援員は、事務所の金庫で保管されている通帳やキャッシュカードにアクセスできる立場にあり、その権限を悪用した可能性が指摘されています。NPOの聞き取りに対して、支援員は「依頼を受けて現金を引き出し、利用者に渡した」と説明したと伝えられていますが、その真偽は警察の捜査に委ねられています。
NPOの対応と体制の見直し
NPO法人ささしまサポートセンターは、路上生活者や生活困窮者に対する生活支援を主な活動としており、今回の事件はその信頼性に深刻な打撃を与えました。同法人は昨年11月に当該支援員を解雇し、警察への被害届提出後に再発防止策の検討を開始しています。
担当者は「チェック体制が不十分であったことを認め、利用者や社会の信頼を損ねてしまったことについて深くお詫び申し上げます」とコメントし、内部監査の強化と管理プロセスの徹底的な見直しを約束しました。
社会的影響と今後の課題
この事件は、生活保護受給者など社会的に脆弱な立場にある人々を支援する事業において、適切な監督と透明性の確保が如何に重要であるかを改めて示しています。827万円という巨額の所在不明金は、単なる金銭的問題を超え、福祉制度全体の信頼性に関わる問題として注目を集めています。
名古屋市は、同様の事業を実施する他の団体に対しても、管理体制の点検を要請する方針を示しており、行政と事業者間の連携強化が急務となっています。利用者保護の観点から、早期の真相解明と再発防止策の確立が強く求められる状況です。