売春防止法改正へ、買う側の処罰検討会を設置 法務省が有識者会議を3月開始
平口洋法相は2026年2月10日の閣議後の記者会見で、成人間の売買春を規制する売春防止法の見直しをめぐり、有識者を交えた検討会を設置すると正式に表明しました。法務省は、今秋の臨時国会か来年の通常国会での法改正を目指して議論を進める方針を明らかにしています。
検討会設置の背景と目的
平口法相は記者会見で、「路上の勧誘行為などが社会的な問題として指摘され、適切な対処を求める声も上がっている」と述べ、近時の社会情勢を踏まえ、幅広い知見に基づいて議論を行う必要性を強調しました。この発言は、売春防止法の現状に対する懸念と改革への強い意欲を反映しています。
検討会は刑事法学者や法曹三者らで構成され、3月に初会合を開く予定です。現行の売春防止法では、売る側の勧誘行為に対して「6カ月以下の拘禁刑か、2万円以下の罰金」という罰則が設けられている一方、買う側は処罰の対象になっていません。この不均衡が、昨秋の臨時国会で「性を売らざるを得ない女性だけが検挙されるゆがんだ構造がある」などとして批判され、高市早苗首相が法改正の検討を指示していました。
法改正の焦点と課題
今回の見直しでは、売る側と買う側の不均衡の是正が最大のテーマとなります。法務省内には、売る側の勧誘行為と同様に、買う側が公衆の面前で声をかけて誘引する行為を罰する案が浮上しています。さらに、買う側の性行為そのものを処罰することの是非や、罰則の引き上げについても検討される見通しです。
海外の制度を参考に、検討会では諸外国の事例とその課題を踏まえた議論が行われることになります。例えば、米国(一部州を除く)など多くの国では売る側と買う側の双方を処罰対象とし、スウェーデンやフランスは買う側のみを処罰しています。一方、オランダやドイツは売買春を合法化し、ニュージーランドや豪州の一部州は非犯罪化を実施しています。これらの多様なアプローチを分析し、日本の社会情勢に合った制度設計を模索することが期待されます。
今後の展望と社会的影響
法改正に向けた議論は、人権や多様性の観点からも重要な意味を持ちます。売春防止法の見直しは、性売買に関わる人々の保護と社会的公正の実現を目指すものであり、幅広い層からの関心を集めています。検討会の成果次第では、日本の法制度が大きく変わる可能性があり、今後の動向が注目されます。