2026年衆院選、自民党の圧勝と「高市1強」体制の実態
2026年2月8日に行われた衆議院選挙は、高市早苗首相による通常国会冒頭解散という異例の措置により、戦後最短の選挙期間で実施されました。その結果、自民党は単独で定数の3分の2を超える316議席を獲得し、地滑り的な勝利を収めました。この選挙結果が日本の政治と民主主義に与える影響について、東京大学の政治学者、牧原出教授に詳しく聞きました。
歴史的大勝利の裏側にある課題
牧原教授は、自民党の議席数が解散前の予想を大幅に上回ったことに驚きを示しつつ、この勝利の性質について以下のように分析しています。
「数字としては歴史的な大勝利ですが、1986年の中曽根康弘首相や2005年の小泉純一郎首相による過去の自民党の大勝とは根本的に異なります」と指摘します。中曽根政権や小泉政権は、実績に基づいて解散に踏み切り、国民からの評価を得た結果でしたが、今回は高市首相個人の人気が比例区や小選挙区で自民党の議席獲得に直接結びついた側面が強いと説明しています。
この勝利により、自民党は衆院で3分の2を占め、法案が参院で否決されても衆院での再可決が可能になるなど、立法プロセスに大きな影響を与えます。しかし、牧原教授は、これが「高市1強」体制の盤石さを示すものではなく、むしろ脆弱性を露呈していると警告します。
高市首相への支持と閉塞感を抱く人々
高市首相がなぜこれほど支持されるのかについて、牧原教授は、「挑戦者としてのイメージや、閉塞感を感じる若年層や女性からの共感が背景にある」と述べています。首相就任後の失言についても、追及した相手や受け止め方の問題として処理される傾向があり、これが支持層に受け入れられている可能性を指摘します。
一方で、名古屋大学准教授の河西秀哉氏は、大勝したことで高市首相は「責任転嫁のパターン」が取りづらくなり、政策実行や党内調整の能力が問われるとコメントしています。また、増えすぎた自民党議員から失言などの問題が発生するリスクも高く、大勝ゆえの新たな課題が生じると予想されます。
肥大化した自民党と首相の調整力
牧原教授は、今回の選挙結果が「高市1強」の盤石さを証明するものではなく、むしろ首相の調整力が試される段階に入ったと強調します。自民党が肥大化することで、党内の意見調整が難しくなり、政策の一貫性が損なわれる恐れがあるからです。
批評家の藤田直哉氏も、高市首相が環境の制約の中で頑張る姿への共感が支持につながったと分析しつつ、今後の政権運営においては、こうした共感だけに依存せず、具体的な政策実現が求められると述べています。
2026年衆院選は、自民党の圧勝という結果に終わりましたが、それは高市首相の個人的人気に大きく依存した勝利であり、今後の政権運営では、肥大化した党の統制と首相の調整力が厳しく問われることになるでしょう。民主主義の健全性を保つためにも、有権者はこうした点を注視していく必要があります。