次期戦闘機GCAPの2035年配備に黄信号 英国の国内事情が官民契約を停滞させる
日英伊の3カ国が共同開発を進める次期戦闘機「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)」において、目標とされてきた2035年配備が遅延する可能性が高まっている。2025年末を目途に予定されていた官民間の契約締結が、英国側の事情により停滞しており、今後の工程に不透明感が広がっている。
首脳会談での合意も具体化に課題
2026年1月31日に開催された日英首脳会談後の共同記者会見において、高市早苗首相は「次期戦闘機の共同開発の進展を加速していく」と表明した。これに対し、スターマー英首相も「GCAPパートナーシップは私たちが特に大きな価値を置いているもので、協力を進める」と応じ、両国間の連携強化を強調した。
しかし、この政治的合意が直ちに具体化につながる状況にはない。小泉進次郎防衛相は、2月13日から15日にかけてドイツで行われる「ミュンヘン安全保障会議」に出席し、英国およびイタリアの国防相との対面会談を調整中だ。開発計画に関する協議が行われる見込みだが、根本的な課題の解決には至らない可能性が指摘されている。
英国の防衛投資計画遅れが最大の障害に
日英伊3カ国は2022年末、次期戦闘機の共同開発を正式に決定した。当初の計画では、2025年末までに以下の2つの契約締結で合意していた。
- 戦闘機開発を管理する政府間機関「GIGO」の設立
- 機体設計・開発を担う合弁会社「エッジウィング」(日英伊企業による)との契約
ところが、複数の日英関係筋によれば、英国の防衛投資計画の策定が遅延していることが最大の障害となっている。この遅れにより、英国内でGCAP関連の予算確保が困難な状況が続き、契約プロセスが停滞しているという。
英国側の計画策定時期は現時点で不透明であり、この問題が早期に解決される見通しは立っていない。そのため、英国を待たずに日本とイタリアの2カ国で先行して費用を負担する案も検討されているとされる。
契約締結までの調整に時間を要する現状
契約が正式に締結されるまでは、各国が個別に主要企業と連携を続ける構図が続く。具体的には、日本が三菱重工業、英国がBAEシステムズ、イタリアがレオナルドとそれぞれやり取りを行うため、調整に膨大な時間がかかることが予想される。
複数の防衛省関係者は、この状況が長期化すれば、2035年配備という目標の達成が危ぶまれると懸念を示している。国際共同プロジェクトにおける調整の難しさが、国家的な防衛計画に影を落としている。
GCAPは、次世代の航空戦闘能力を確保する上で極めて重要なプロジェクトであり、その遅延は3カ国の安全保障戦略に直接的な影響を及ぼす可能性がある。今後の進展には、英国の国内事情の早期解決と、3カ国間の緊密な連携が不可欠だ。