住友生命で他社情報不正持ち出し780件、大手4社で業界横断的な問題に発覚
住友生命保険は2月9日、販売代理店への出向者による他社の商品情報などの不正な持ち出し事例を780件確認したと正式に発表しました。この問題は既に日本生命保険、明治安田生命保険、第一生命ホールディングスでも同様の事例が明らかになっており、生命保険業界の大手4社で不正行為が横行していた実態が浮き彫りとなりました。業界全体の体質とコンプライアンス意識が厳しく問われる事態へと発展しています。
組織的指示は否定も、出向者13人と代理店8社が関与
住友生命は記者会見で、組織的な持ち出し指示は一切なかったと強く否定しました。また、関係した販売代理店側から、持ち出された情報が不正競争防止法上の営業秘密に該当するとの指摘は受けていないと説明しています。しかし、調査の結果、2022年4月から2025年5月にかけて、出向者13名と代理店8社が関与する780件の不正事例が確認されました。
具体的な手法としては、出向者が許可を得ることなく、他社の商品資料などを私用のスマートフォンで撮影し、その写真をメールやメッセージアプリで住友生命の役職員と共有していたことが判明しています。対象となった社員や管理職に対する処分については、現在詳細を検討中であるとしています。
再発防止策として私用スマホ禁止、出向者全員引き揚げへ
住友生命は「関係者の皆さまにご迷惑をおかけしたことを深くおわびする」とするコメントを発表し、問題の発生原因として管理職の指導不足や出向者への教育不十分を挙げました。再発防止に向けて、私用スマートフォンを用いた業務連絡を全面的に禁止するなどの対策を既に講じています。
さらに、販売代理店への出向者については、3月末までに全員を本社へ引き揚げる方針を固めました。これにより、出向先での情報管理リスクを根本から排除する構えです。同社は今後、内部監査を強化し、コンプライアンス教育を徹底することで、信頼回復に全力を注ぐと約束しています。
業界全体に波及する信用不安、規制強化の可能性も
今回の問題は単一企業の不祥事に留まらず、生命保険業界の大手企業が軒並み同様の不正に関与していた点で極めて深刻です。消費者や取引先からの信用失墜は避けられず、業界全体のイメージダウンは必至と言えます。
金融庁をはじめとする監督当局は、各社の調査結果を精査し、必要に応じて業務改善命令や行政処分を検討する見通しです。また、業界団体による自主規制の強化や、情報管理に関する新たなガイドライン策定が急がれる状況です。生命保険各社は、透明性の高い経営と厳格なコンプライアンス体制の構築が急務となっています。