日本調査団、トルコ・アナトリアの「最古の文明」遺跡で最大規模の発掘へ
トルコ・アナトリア地方で「最古の文明」と呼ばれる約1万2千年前の巨石遺跡群の発掘に取り組む日本調査団が、今年大きな節目を迎えています。主導役の遺志を継ぎ、地域で最大規模の遺跡の発掘が始まりました。
肥沃な三日月地帯に広がる古代の謎
遺跡群はアナトリア南東部のシャンルウルファ地方に位置し、「肥沃な三日月地帯」として知られるユーフラテス川の上流域に広がっています。世界遺産のギョベックリテペ遺跡は、エジプトのピラミッドよりも約7千年も古い、1万2千~1万年前のものと判明しています。同時代とされる遺跡が一帯の約100キロ四方に少なくとも17カ所確認されており、トルコの文化財当局は「タシュテペレル(石の丘)考古学プロジェクト」と名付けた発掘調査に取り組んでいます。
カラハンテペ遺跡の独特な様式
上空から撮影したカラハンテペ遺跡は、年代測定から1万1600~1万年前のものとみられ、タシュテペレルの遺跡の中でも規模が大きく、独特な様式の立派な遺構が目立ちます。建造物の多くは石灰岩の岩盤の上に建てられ、大型の建造物は岩盤を掘り込んだ半地下式の構造になっています。この特徴的な建築様式は、当時の高度な技術と社会組織を示唆しています。
日本の考古学者・大村幸弘氏の遺志
日本からも調査団が参加しており、大きな役目を果たしたのが、中近東文化センター付属アナトリア考古学研究所所長を長年務めた考古学者の大村幸弘さんでした。大村さんは50年以上にわたって現地で遺跡発掘を続け、トルコの考古学界や文化財当局で知らない人はいない存在でした。プロジェクトへの日本の参加も、トルコ側が大村さんを頼って内々に打診してきた経緯があります。
大村さんは「何世代もかかる取り組みになるだろう。でも、『世界史の第1章』を、日本の調査団が書き換えることになる」と、参加の意義を語っていました。大村さんに共鳴した著名な学者や研究者たちが、このプロジェクトに加わり、国際的な協力体制が築かれています。
文明の起源を探る挑戦
アナトリアの巨石群遺跡は約1万2千年前の最古の文明とされ、これまでは3500年~4000年頃に栄えたメソポタミア文明が最古と言われていた歴史観を覆す可能性があります。文明の定義には当てはまらない面もありますが、縄文時代にも匹敵する古さであり、半地下の建造物を当時作れていた技術力は驚異的です。
日本調査団の活動は、単なる発掘作業を超え、人類の歴史の起源を探る学術的な挑戦として注目されています。トルコ当局との緊密な連携のもと、最新の考古学技術を駆使して、遺跡の詳細な調査が進められています。
今後の展望と期待
今年始まる最大規模の発掘では、カラハンテペ遺跡を中心に、より広範囲な調査が行われる予定です。これにより、当時の人々の生活様式、社会構造、宗教観など、文明の成り立ちに関する新たな知見が得られることが期待されています。日本調査団の貢献は、国際考古学界においても高く評価されており、今後の成果が世界中から注目されています。