刑法犯認知件数がコロナ禍前を上回り4年連続増加、特殊詐欺被害が倍増
警察庁が12日に公表した2025年の犯罪情勢統計によると、昨年1年間の刑法犯認知件数は前年比4.9%増の77万4142件に達した。これは戦後最少を記録した2021年から4年連続で前年を上回る増加傾向を示しており、特に注目すべきはコロナ禍前の2019年(約74万9000件)を初めて上回った点である。
窃盗犯が全体の6割超、万引きでは食料品被害が半数
罪種別では「窃盗犯」が51万3931件(前年比2.5%増)で全体の6割超を占め、こちらも4年連続の増加となった。銅線ケーブルなどの「金属盗」は前年から2割減少した一方で、空き家の貴金属などを狙う事件は5年前の4倍に急増している。
万引きの増加も全体の件数を押し上げており、前年比7%増の10万5135件を記録。注目すべきは被害品の半数に食料品が含まれていたことで、生活困窮を背景とした犯罪の増加が窺える。
特殊詐欺被害が前年からほぼ倍増、SNS型詐欺も深刻化
詐欺などの「知能犯」は7万7473件(前年比25%増)と大幅に増加し、詐欺の動機では「生活困窮」が約4割を占めて最多となった。
詐欺全体の被害額は約4029億円(前年比31%増)に上り、このうち特殊詐欺が約1414億円(暫定値)と前年からほぼ倍増した。特に「SNS型投資・ロマンス詐欺」の被害額は約1827億円(同)と4割増加しており、警察庁は「匿名・流動型犯罪グループ(匿流)」らが事件を繰り返していると分析している。
外国人検挙件数が3割増、治安悪化を感じる人が8割近く
刑法犯の検挙件数は30万1055件(前年比4.8%増)で、このうち来日外国人は1万7614件(同31.4%増)と顕著な増加を示した。殺人や強盗などの「重要犯罪」で検挙された来日外国人は550人(前年比48人増)に上っている。全体の検挙率は前年と同じ38.9%だった。
一方、警察庁が昨年10月に実施した15歳以上の男女5000人を対象とした調査では、10年間で治安が「悪くなったと思う」と答えた人が79.7%に達し、前年から3.1ポイント増加した。要因(複数回答)では「オレオレ詐欺」や投資詐欺などが72%を占めており、同庁は「課題に的確に対応していく」としている。
刑法犯認知件数は2002年の約285万件をピークに減少傾向が続いていたが、2022年から増加に転じ、昨年はコロナ禍前の水準を超える結果となった。特殊詐欺の急増や外国人犯罪の増加など、新たな犯罪形態への対応が急務となっている。