盲ろう者の投票の壁を乗り越えて 雪の中の衆院選で託された一票の思い
盲ろう者の投票の壁 雪の衆院選で託された一票

盲ろう者が雪の中の衆院選で投票 通訳・介助員の支援で一票を託す

2026年2月8日、衆院選の投開票日。東京都武蔵野市に住む盲ろう者の小林功治さん(45)は、左手に白杖を持ち、右手を通訳・介助員の腕に添えて、自宅から投票所へと向かった。この日は雪が舞い、歩道には降り積もる雪が凍結していた。小林さんは白杖で足元を確かめながら歩いたが、凍った路上を避けるのは容易ではなく、雪に足を取られて転倒する場面もあった。

「急な選挙に加えてこの天気。投票を諦める障害者は多いのではないでしょうか」。小林さんは心配そうに語った。真冬の解散から投開票日までわずか16日という短期間の選挙は、障害者にとって特に厳しい条件となった。小林さんはなじみの通訳・介助員を予約できたが、短期間で介助員を探せなかったり、交通の便が悪い地域では悪天候で訪問が困難だったりするケースも少なくないという。

触手話によるコミュニケーションと投票所での対応

小林さんの主なコミュニケーション手段は、通訳・介助員の手に触れて手話を読み取る「触手話」だ。右耳につけている人工内耳は、周囲の音が入る場では聞こえづらいため、投票所では触手話ができる介助員が不可欠となる。

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投票所に到着した小林さんは、通訳・介助員と共に受付へ。点字の候補者名簿や投票用紙に記入する際に使う補助具が必要なことを係員に伝え、案内されて記載台へ向かった。自筆で投票用紙に記入し、投票箱へは通訳・介助員に手引きしてもらい、差し入れ口を確認して自分で投票した。この間、通訳・介助員と係員は終始、小林さんのそばで見守り対応した。

点字の選挙公報が届かず 障害者の権利が脅かされる現実

投票は無事に終えたものの、小林さんが困ったのは、事前に依頼した点字の選挙公報が届かなかったことだ。投開票日の3日ほど前に届いたのは、依頼していない音声版の選挙公報で、しかも小選挙区のみで、比例代表と最高裁判所裁判官国民審査のものは含まれていなかった。

「小選挙区だけでも」と、小林さんは残念そうに話す。このような事例は、障害者が選挙情報に平等にアクセスする権利を脅かすものであり、突発的な選挙日程がもたらす課題を浮き彫りにしている。

障害者と選挙の問題は、単に物理的なアクセスのみならず、情報提供の面でも深刻だ。視覚障害者向けの選挙公報が非対応であるケースは多く、今回のように点字版が間に合わない恐れも指摘されている。共生社会の実現には、こうした障壁を取り除くための制度改善が急務と言える。

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