福田金属箔粉工業、400年の歴史を礎に新たな挑戦へ
創業1700年、江戸幕府5代将軍・徳川綱吉の時代に遡る福田金属箔粉工業。屏風や仏壇仏具の装飾用に金箔や金粉を販売していたが、明治時代に産業用途へと転換し、現在ではスマートフォンやパソコンに使われる銅箔、自動車部品の軸受け用銅粉などを主力商品とする。7代目社長に就任した福田宏樹氏(52)は、「金属の箔と粉でお客さまの困り事を解決するのは創業以来変わらない」と語り、400年企業への道を切り開く決意を示す。
世襲制ではない社長への道
福田氏は、法人化してから4代目社長である福田健・取締役名誉顧問の長男だが、「完全な世襲制ではないので、子どもの頃は社長になるなんて考えてもいませんでした」と振り返る。進学先に茨城大学工学部を選んだのも家業を意識したわけではなく、卒業後は米ノースイースタン大学で研究に携わった。2009年に同大学院を修了し、翌年入社。配属先が研究開発ではなく生産技術部門だったことに驚きつつも、着実にキャリアを積み上げた。
知名度向上と従業員のモチベーションアップ
社長就任直後の昨年4月、福田氏はサッカーJ1・京都サンガF.C.のプラチナスポンサーとなる決断を下した。同社はプリント配線基板用の電解銅箔などで高いシェアを誇るが、社員の採用が思うように進まない課題を抱えていた。スタジアム内に社名が紹介されることで、「知名度向上が狙いだが、従業員のモチベーションアップにもつながる」と手応えを語る。この取り組みは、企業ブランドの強化と人材確保の両面で効果を発揮しつつある。
環境負荷低減と技術革新への注力
国際的に環境負荷の低減が求められる中、福田氏は限りある鉱物資源を再利用する「リサイクル銅」の活用など、環境に優しい取り組みに全力を注ぐ。また、スマートフォンなどの新商品開発サイクルのスピード化に対応するため、新製品の研究開発力も高めている。「400年企業に向けて、道を切り開いていきたい」と穏やかな表情を引き締め、持続可能な成長を目指す姿勢を強調する。
企業の成長と今後の展望
同社の年売上高は1984年に300億円を突破し、2024年12月期は前期比19%増の579億円を記録。昨年3月には園田修三社長が会長に、福田常務が社長に就任し、新体制がスタートした。本社と京都工場は山科区に、滋賀工場は滋賀県東近江市に位置し、地域経済にも貢献している。福田氏のリーダーシップの下、伝統を守りつつ革新を続ける同社の動向に注目が集まる。