愛知県長久手市のジブリパークが新しく刊行した公式パンフレットに、直木賞作家の三浦しをんさんがオリジナルストーリーを書き下ろしました。「ハウルの城」「魔女の家」「オキノ邸」の3冊で、それぞれの物語がさりげなくつながっています。
三浦しをんさんが語る執筆の背景
三浦さんは「映画に登場するキャラクターの気配を感じながら、留守宅にお邪魔しているイメージで書いたんです」と語ります。パンフレットでは、光や音、風が主人公となり、建物を案内する形式を採用。例えば「ハウルの城」では、光が「こっそりと家の中を見てまわることにしよう」と語りかけ、台所や浴室を紹介。読者はその視点に誘われ、魔法使いの青年ハウルの寂しさや、町に忍び寄る戦火の足音を感じ取ることができます。
ジブリパーク訪問の感想
三浦さんがジブリパークを訪れたのは昨夏で、初めての経験でした。「作品の世界観を壊さず、それでいてリアルな生活感もある。展示物に触れるので映画の場面の中に入っているようで感激した」と述べています。また、劇中で起きたことを実際のものとして感じ、「現実と虚構の境目ははっきり分けられないものなのかも」と思ったそうです。「小説家って普段からうそ八百を書いているけれど、全てがフィクションかというとそうでもない。現実と虚構の境は揺れ動くものだし、そういうものを必要としている人間って不思議。そういう感覚が読者に伝われば」と語りました。
三浦しをんさんのプロフィールと近況
三浦しをんさんは1976年東京都生まれ。2000年に『格闘する者に○』でデビューし、2006年に『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞、2012年に『舟を編む』で本屋大賞を受賞。山本周五郎賞や直木賞の選考委員も歴任しています。著書には小説『ゆびさきに魔法』、エッセー『しんがりで寝ています』など多数。自身の小説も「風が強く吹いている」「舟を編む」「WOOD JOB!神去なあなあ日常」などが映画化されました。現在は充電中で、「本を読んだりゴロゴロしたり。次に何を書くか分からないけど、楽しいものとちょっと暗い感じのもの、両方をバランスよく書いていきたい」と笑顔を見せました。
3部作シリーズの詳細
ジブリパークが販売する魔女の谷エリアの公式パンフレットは、2月から4月までの3カ月連続で刊行された3部作シリーズです。三浦しをんの書き下ろし作品と内部の写真に加え、それぞれの建物のモチーフとなったスタジオジブリの映画にゆかりのあるゲストがパークでの思い出をつづり、巻末に掲載されています。
- 「ハウルの城」:俳優の木村拓哉さんが寄稿。
- 「魔女の家」:シンガー・ソングライターのあいみょんさんが寄稿。
- 「オキノ邸」:映画「魔女の宅急便」で主人公キキと画学生ウルスラの声を演じた声優の高山みなみさんが寄稿。
いずれもAB判中綴じ、オールカラー56ページで1500円。魔女の谷の土産物ショップ「13人の魔女団」、ハッター帽子店内の書店「魔女の本棚」、ジブリの大倉庫の土産物ショップ「冒険飛行団」と「熱風書店」で購入できます。別途、それぞれのエリアへの入場チケットの予約購入が必要です。
(花井康子)



