「連帯」目指し挫折した94歳ゲイ活動家の軌跡、ドキュメンタリー映画完成
「連帯」目指し挫折した94歳ゲイ活動家の軌跡、映画化

性的少数者(LGBTQ)の権利向上を訴える「プライドパレード」を、30年以上前に日本で初めて実現させたゲイ活動家、南定四郎さん(94)のドキュメンタリー映画が完成した。自身もゲイであることを公表している松岡弘明監督(39)は、「『連帯』を目指しながらも挫折した、南さんの活動の歴史から学ぶことは多い」と語る。

映画「熱狂をこえて」の概要

タイトルは「熱狂をこえて」。南さんが90歳の誕生日を迎えた2021年12月から撮影を開始し、約4年の歳月をかけて製作された。きっかけは、南さん自身からの「挫折も含めて撮らないか」という提案だったという。

南定四郎さんの歩み

南さんは1931年、樺太(現在のサハリン)で生まれた。秋田県で育ち、20代で上京。転職を繰り返しながら、40代で編集者としてゲイ雑誌「アドン」を創刊した。その後、ゲイ解放運動やエイズ予防活動に取り組み、1994年に60代で「第1回レズビアン・ゲイ・パレードin東京」を実現させた。現在は沖縄県で暮らしている。

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パレードの成功と挫折

パレードは、1970年代に世界各地で開催されるようになり、日本での第1回は新宿から渋谷までの約4.5キロを行進。ゴール時点で千人以上が参加する「大成功」を収めた。しかし、回を重ねるごとに運営が次第に独善的になり、周囲の仲間との溝が深まっていった。3回目のパレードで大きな反発を受けた南さんは、表舞台から身を引いた。映画では、当時の経緯を南さんのほか、10人以上の関係者へのインタビューを通じて多角的に記録している。

製作中の発見

製作中には、第1回パレードの公式映像も発見され、映画に追加された。大学生の時に初めてパレードに参加し、運営スタッフとしても携わった松岡監督は「多くの人と一緒に歩き、『自分だけじゃないんだ』と思えた。自分を受け入れるきっかけになった」と振り返る。

20年ぶりのパレード参加

南さんは2014年、約20年ぶりに東京でパレードに参加し、ステージに登壇。マイクを握り、多くの参加者の前で隔世の感を語る場面も映画に登場する。

松岡監督は「今より当事者と明らかにできない時代に、パレードを始めたのは大きな一歩だった」と評価。「歴史を知り、さまざまなセクシュアリティーの人が歩み寄り、緩やかでも連帯して対話できる環境が重要だ」と話す。

公開情報

映画は、渋谷・原宿周辺で6月7日に開催されるパレード「Tokyo Pride 2026」に合わせ、同月5日から「シネマート新宿」で先行公開。26日からは「アップリンク吉祥寺」でも上映される。上映時間は105分。

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