歌手の加藤登紀子さんが、戦争のない世界への願いを込めて、国際社会が切に平和を追い求めた100年前の時代をテーマに、ゆかりの深い兵庫県西宮市で5月9日にコンサートを開く。
コンサートの概要
コンサートの題名は「明日への讃歌 ジーナの生きた100年」。加藤さんは、宮崎駿監督の依頼でアニメ映画「紅の豚」(1992年)に登場するマダム・ジーナ役の声優を演じ、主題歌をはじめ歌も担当した。「紅の豚」は20~30年代のイタリア・アドリア海を舞台にした飛行艇の操縦士たちの物語で、ホテル経営者で歌手のジーナは彼らから慕われ、歌声で励ます。
楽曲と平和への思い
劇中でジーナも歌う映画の主題歌がシャンソンの「さくらんぼの実る頃」。フランスで労働者らが蜂起した市民革命「パリ・コミューン」(1871年)の渦中に誕生した。加藤さんは「どんなに時が過ぎても、あの日のことは忘れないと、あきらめや絶望の中で希望を与えてくれる歌です。ジーナは、夢に燃えていた飛行機乗りたちが、戦争で死んでいくという運命を経験します。『紅の豚』はもう戦争は嫌だという骨身に染みた気持ちが表現された作品で、私の思いと重なります」と語る。
第1次世界大戦の甚大な被害を踏まえ、国際連盟が1920年に設立された。1928年成立のパリ不戦条約は「国際紛争解決のために戦争に訴えることを非難し、国家政策の手段として戦争を放棄する」ことを掲げた。だが、不戦条約に参加していたドイツや日本が30年代に隣国との戦争へと突き進み、第2次大戦で人類は大量殺戮を犯す。不戦条約の精神は、国連憲章や日本国憲法9条が引き継いでいる。加藤さんは「何とかして再び世界大戦を起こさないようにと国際社会が必死に平和を求めた時代を、今こそ思い出したい」と呼びかける。
コンサートのプログラム
コンサートでは「さくらんぼの実る頃」や「時には昔の話を」など「紅の豚」に登場した歌を披露する。また、ロシア革命後に各地に亡命した白系ロシア人が口ずさんだロシア歌謡が原曲の「悲しき天使」や、「世界中の人々が平和の中に生きている」ことへの祈りを込めた「イマジン」なども歌う。
世界各地で続く戦火で日々多くの命が失われている現状を踏まえ、加藤さんは平和への願いを強く込めたコンサートにしたいと意気込んでいる。



