名古屋高検は1日、福井市で1986年に発生した女子中学生殺害事件で、殺人罪で服役後に再審無罪が確定した前川彰司さんに対する公判での対応について、関係した検察官へのヒアリングなどの調査を開始すると発表した。この発表は、同日付で出された「いわゆる福井女子中学生殺人事件の調査について」と題する文書に基づく。
調査の背景と目的
文書では、再審制度の見直しをめぐり国民的な議論や関心が高まっていることを指摘。その上で、当該検察官の対応に対して「改めて様々な指摘がなされている」とし、最高検の指示の下でヒアリングなどの調査を実施することを明らかにした。調査の対象は、確定審や再審請求審に関与した検察官で、既に退職している者も含まれ、当時の訴訟活動の状況について詳細に聴取する方針だ。調査結果は報告書にまとめられ、公表される予定である。
事件の経緯と批判
福井事件では、一審段階で、一部の関係者の証言と矛盾する捜査報告書が存在していたにもかかわらず、検察はこの報告書を証拠開示せず、1回目の再審開始決定に対して異議を申し立てるなどの対応を取った。これに対し、昨年7月の再審無罪判決は、検察の行為を「公益を代表する検察官としてあるまじき、不誠実で罪深い不正の所為」と厳しく批判していた。
これまでの高検の取り組み
名古屋高検はこれまで、訴訟記録の分析などを通じて反省事項や再発防止策を検討してきた。再審無罪が確定した昨年8月には、管内の地検に対して「証拠に反する事実を主張し、誤った事実関係を前提としたまま公判を遂行させることはあってはならない」とする通知を発出している。
今回の調査は、こうした経緯を踏まえ、検察の公判対応の適正さを検証するためのものであり、再審制度の信頼性回復に向けた一歩として注目される。



