アラブ首長国連邦(UAE)が、石油輸出国機構(OPEC)を脱退すると表明した。背景には、米国・イスラエルとイランの戦闘をめぐって生じたOPECの盟主サウジアラビアとの溝の深まりもありそうだ。
UAEの独自路線
今後、UAEは安全保障面でもサウジなどの湾岸諸国と距離を置き、米国・イスラエルとの関係を強化する独自路線を進むとみられている。UAEのOPEC脱退は、増産路線の違いや価格への影響力低下も背景にある。
イラン攻撃で顕在化した不満
米国・イスラエルは2月28日にイランに先制攻撃を開始。イランはこれに対し、世界の石油の2割が通過するホルムズ海峡の事実上の封鎖や湾岸諸国のエネルギー施設などへの攻撃といった「非対称戦」で応戦した。
UAEとサウジの間では昨年末ごろから、両国が介入するイエメン内戦での立場の違いをめぐり、緊張が高まっていた。だが、イランの攻撃への対応が最優先になり、イエメンの問題は後景に退いた。
ただ、イランからの攻撃やホルムズ海峡の封鎖が長期化するにつれ、UAEは防戦一方の湾岸諸国に対して不満を募らせていった。UAEは2020年のアブラハム合意の一環でイスラエルと国交を正常化しており、周辺国のなかで最も多くイランからの攻撃を受けた。UAEへの攻撃はイスラエルの2倍以上に上る。
サウジアラビアのシンクタンクの見解
サウジアラビアのシンクタンクは、UAEの脱退がOPECの結束に影響を与える可能性を指摘している。特に、サウジとUAEの間で石油増産をめぐる意見の相違が長年続いており、今回の脱退でその溝が一層明確になった。
UAEは今後、米国やイスラエルとの協力を強化し、安全保障や経済面での独自路線を追求するとみられる。一方、サウジアラビアはOPEC内での主導権維持を図り、他の加盟国との連携を深める可能性がある。
専門家は、UAEの脱退が中東のエネルギー地図を大きく変える可能性があると分析している。特に、ホルムズ海峡の安定性や石油価格への影響が注目される。



