トヨタ自動車グループの部品最大手であるデンソーは27日、電子部品大手ロームに対する買収提案について、「提案を取り下げることを含め、さまざまな選択肢を検討している」と公式に発表した。同社は、この買収提案に対してローム側から十分な賛同を得られていないことを認め、事実上の撤回検討に踏み切った。
買収提案の経緯と背景
デンソーは今年2月、ロームの全株式取得も視野に入れた買収を提案。これに対しロームは、社外取締役らで構成する特別委員会を設置し、提案内容の受け入れ可否を慎重に審議していた。しかし、両社の間で合意に至らず、今回の発表に至った。
パワー半導体再編への影響
もしデンソーが買収提案を正式に撤回した場合、電気自動車(EV)などに不可欠な電力制御用パワー半導体の業界再編は、ロームと三菱電機、東芝の3社による事業統合協議が主軸となる見通しだ。この統合は、パワー半導体分野での国際競争力強化を目的としており、今後の業界地図を大きく変える可能性がある。
デンソーの声明と現状
デンソーは今回の発表の中で、買収提案に関する対応について「現時点で決定した事実はない」とも言及しており、今後の進展次第で再び提案を修正する可能性も残している。両社は昨年5月に半導体分野での戦略的提携に合意しており、デンソーはローム株式の5%弱をすでに取得している。今回の買収提案撤回の動きは、この提携関係にも影響を及ぼす可能性がある。
業界関係者の間では、デンソーがロームとの協業を継続しながら、他のパートナーとの連携も模索するのではないかとの見方も出ている。パワー半導体市場の需要拡大を見据え、各社は生き残りをかけた戦略を加速させている。



