大和ハウス、米国一本足打法からの脱却を目指す
大和ハウス工業の芳井敬一会長兼最高経営責任者は、海外事業における米国への過度な依存を解消する方針を明らかにした。現在、海外売上の約8割を占める米国の比率を、次の中期経営計画の期間中に6割から7割まで引き下げる目標を掲げている。これは、地域バランスを重視した経営戦略の一環として位置づけられている。
技術力の強化と事業基盤の拡大
芳井会長は、2022年から2026年度までの第7次中期経営計画が、最終年度を1年前倒しして売上高5.5兆円の目標を達成する見通しであると説明した。しかし、同計画は米国の土地販売による売上伸長が顕著で「うまく行き過ぎた」と指摘。策定中の第8次中期経営計画では、一過性の成果ではなく、持続可能な成長を目指す姿勢を強調した。
住友電設のグループ入りにより、半導体工場やデータセンター建設での経験を活かし、品質向上と具体的な提案力を強化する方針だ。芳井会長は「技術が衰えたらだめだ」と述べ、技術力の維持・向上が競争優位性の鍵であると語った。
売上高10兆円目標と国内・海外の比率見直し
創業100周年となる2055年には、売上高10兆円の達成を目標としている。芳井会長は、この目標に向けて事業領域を広げる必要性を指摘し、現状のままでは「心もとない」と述べた。前会長が提唱した国内と海外の比率「3対7」について、芳井会長は「逆で国内を7、海外は3くらいにとどめておいた方がいい」と見解を示し、国内基盤の強化を優先する考えを示した。
また、M&Aによるリスクを避け、着実な成長を重視する姿勢を明確にした。「国内の基盤があってこその海外だと思う」と語り、海外進出の前提として国内事業の安定を図る方針を打ち出した。
米国依存の是正と東欧市場への注力
海外事業において米国が約8割を占める現状について、芳井会長は「米国事業はうまくいきすぎた」と評価。IT企業従事者による住宅購入需要の高まりなど、市場の成長を認めつつも、中国市場の厳しさから「米国一本足打法」に陥ったことを反省した。
これを解消するため、東欧市場の開拓に力を入れる方針を明らかにした。オランダとベルリンに工場を有するモジュール建築事業を軸に、売上比率の向上を目指す。特に、ウクライナ復興支援では、経済産業省の事業者に採択され、ポーランドに工場を建設してプレハブ住宅の実証事業を進める計画だ。
芳井会長は「日本は大きな災害を経験しており、復旧・復興のスピード感が海外でも役立つだろう」と述べ、日本のノウハウを活かした国際貢献に意欲を見せた。ウクライナの人々が日本を原発事故からの復興国として評価している点にも触れ、相互理解を深める重要性を強調した。
社内体制の改革と将来展望
芳井会長は、入社当時は海外事業の存在を意識していなかったと振り返り、現在では海外で働くことを希望する社員も増えていると指摘した。社内体制を改革し、海外事業本部が前面に出るのではなく、各事業本部が国内・海外両方で活動できるようにした結果、現場主導で海外事業を探求する動きが生まれたという。
「海外事業本部がマンション部隊や住宅部隊を抱えたりすれば、ややこしいことになる」と語り、シンプルで効率的な組織運営を重視する姿勢を示した。今後も、技術力と地域バランスを両立させた成長戦略を推進していく方針だ。