渡部暁斗、最後の五輪個人戦でメダルならず 37歳の「ぎりぎり」挑戦
2026年ミラノ・コルティナオリンピックのノルディック複合個人ラージヒルで、渡部暁斗選手(37歳)が最後の五輪個人種目に挑んだ。しかし「桜を咲かせる」ことは叶わず、前半飛躍でK点(128メートル)に届かず「ちょっと悲しい」と落胆を隠せなかった。
課題の飛躍、後半距離で懸命の追い上げも
後半の距離種目では懸命に前を追ったが、メダル圏内との差は大きく、表彰台には届かなかった。渡部選手はこれまで距離強化と飛躍技術の両立に苦しみ、昨夏には「速いものを追えなくなってきた。(踏み切りが)遅れたりする」と目の衰えも自覚していた。
イタリア入り後は、板の下にビー玉を敷いた器具で助走感覚を研ぎ澄ませるなど工夫を重ねたが、大会では大ジャンプとはならなかった。今季限りでの引退を決めてからは「五輪で奇跡を起こす」と繰り返し口にしてきたが、その本音は「そう言わないと心が保てない。ぎりぎりのところ」だった。
3大会連続メダリストの誇りと現実
五輪前最後のワールドカップを終えた後、思うように調子が上がらぬまま漏らした言葉が、選手の心境を物語っている。現実は厳しくとも、渡部選手は最後まで表彰台争いにこだわり、「持っているもの全てをコースに置いてくる」との覚悟で走り抜いた。
37歳のベテラン選手は、第一人者としての誇りを最後の五輪で示し、競技生活にピリオドを打つ。ノルディック複合日本代表の中心として活躍してきた渡部暁斗選手の戦いは、ファンに深い感動と敬意を残した。