将来の大量廃棄が懸念される太陽光発電パネルのリサイクル推進に向けて、県が耐用年数を超えたパネルの収集、運搬、分解などを担う複数企業による組織化を後押しする事業を始める。県はこれまで、地元企業と共にリサイクルの実証事業を進めてきたが、企業間の連携強化により採算性を高め、パネルのリサイクルを本県の新たな産業に育てることを目指す。
背景と課題
2012年に再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)が始まったことで、本県の太陽光の発電量は11年比でおよそ50倍に増えた。ただ、FIT開始後に設置されたパネルの耐用年数は20~30年で、30年代には廃棄量の急増が見込まれている。このため、パネルを受け入れる処分場の逼迫が懸念される。大量のパネルのリサイクルに対応できる体制づくりを急がなければならない。
新事業の内容
新事業では、発電能力の残る廃棄パネルの再利用や、パネルに含まれるアルミやガラスの再資源化に取り組む企業を募り、県が仲介して連携の枠組みをつくる。年内には企業連合として事業を運営できる形を整えたいとしている。
コスト課題と対策
課題は、パネルを埋設処分するのに比べてリサイクルの費用が割高なことだ。県が現在行っている実証事業では、埋設とリサイクルの費用の差額を県が補助している。ただ、30年代以降を見据えれば、補助を続けるのは現実的ではない。リサイクルの費用低減を進めていくことが不可欠となる。県は、発電施設から集めたパネルを一時的に集積する場所を設けることによるコスト削減を進める。また、アルミなどリサイクルした部材の高品質化にも取り組むことを視野に入れる。取り出した部材を製造業などに売却することで、リサイクル費用の回収につなげる考えだ。
県の取り組みと展望
県は原発事故以降、「再生可能エネルギー先駆けの地」を掲げ、太陽光発電の導入を強力に推し進めてきた経緯がある。県と参加企業には、再利用や再資源化についても先駆けの地となるよう、十分な収益の見込める事業モデルの構築を目指してもらいたい。政府は大規模太陽光発電所(メガソーラー)の事業者などに、パネルのリサイクル計画策定を義務付ける法律案を閣議決定した。国は今後、処分場の容量やリサイクル費用の動向などをみながら制度を見直すとしている。企業連合の事業は、リサイクルの課題を洗い出すことにもつながるだろう。県は見えてくる課題を踏まえ、より実情に沿った制度を国に求めていく必要がある。



