緑豊かな東京都小金井市は、世界的に有名なアニメーション制作会社スタジオジブリの本拠地として知られている。市内の随所に、同スタジオが手がけた映画の舞台を連想させる魅力的な風景が広がっている。雨上がりのしっとりとした空気の中を歩けば、まるで物語の登場人物になったかのような没入感を味わうことができる。
はけの道とはけの森美術館
JR武蔵小金井駅の南口から坂道を下り、「はけの道」と呼ばれる散策路へと足を進める。案内板によると、この地域では市南部に広がる崖を古くから「はけ」と呼んでいるという。崖の下には豊富な湧き水が流れ、雑木林が広がる緑豊かなエリアだ。その木々の中にひっそりと佇む「はけの森美術館」を訪れると、大正時代から昭和にかけて活躍した画家、中村研一の作品展が開催されていた。特にロマンチックなバラの絵が心に強く残った。
はけの小路とアリエッティの世界
近くにある遊歩道「はけの小路」は、映画『借りぐらしのアリエッティ』の制作時にスタジオジブリが「大いに参考にした」場所として知られる。ストーリー終盤の場面と重なるこの小道では、水路沿いのみずみずしい草花の陰に、小人アリエッティの姿を探したくなる。冒険心が刺激され、葉っぱに付いた水滴に目を凝らしたり、行く手を阻む木の枝をくぐったりしていると、突然脇のやぶがガサガサと動き、小さな鳥が目の前に飛び出した。その愛らしい姿を追いかけて、思わずカメラのシャッターを切った。
住宅街の散策と江戸東京たてもの園
バイオリン工房や神社が点在する静かな住宅街を散策しながら、再び駅方面へ向かう。小金井街道を北に進むと、目的の「江戸東京たてもの園」に到着する。ここは歴史的建造物を移築・復元した野外博物館で、映画『千と千尋の神隠し』の世界観を描く際に参考にされたことが公表されている。復元された文具店や旅館、銭湯が立ち並ぶ通りは、千尋が迷い込む不思議な町並みにどこか似ている。
園内の旅館では、「よかったらどうぞ」と係の人の案内で風呂敷体験に参加した。瓶2本を包む方法を教わっていると、親子連れのグループも加わった。高校生の息子同士が幼なじみだという彼らは、風呂敷を大きな袋状にする技を学び、「これで急にスイカを買っても大丈夫だね」と楽しそうに盛り上がっていた。
ランチは洋館カフェで
昼食は、明治時代の薫り漂う洋館「デ・ラランデ邸」内のカフェで、ハヤシライスを注文した。窓の外からは鳥のさえずりが聞こえ、穏やかな時間が流れる。
ちなミニ情報
「はけの森美術館」は展覧会の開催期間中のみ開館しており、次回の開催は秋ごろを予定している。



