オペレッタ楽団、10年ぶり活動再開 新理事長「若い人の登竜門に」
オペレッタ(喜歌劇)を専門とする国内有数の楽団「喜歌劇楽友協会」が、10年以上の休止期間を経て、2025年に大阪府堺市を新たな拠点として公演を再開した。亡き主宰者の思いを受け継いだ後進たちの熱意が、活動再開を実現させた。
再開への道のり
2026年5月23日、メンバーが大阪市内のホールに集まり、6月にフェニーチェ堺で行われる公演に向けて初めての通し稽古を行った。演目は世界的に愛されるオペレッタの名作「メリー・ウィドウ」。大富豪の夫を亡くした女性の恋の騒動を描いた作品だ。稽古では軽快なセリフの応酬、ピアノに合わせた歌声、重厚な合唱が繰り広げられ、本番への気迫が伝わってきた。
オペレッタは19世紀以降、ヨーロッパで親しまれてきた舞台芸術で、オペラよりも踊りの要素が強く、ワルツやポルカなどで構成されることが多い。
このオペレッタに魅了されたのが、協会の創設者である向井楫爾さん(故人)だった。テノール歌手として活躍した向井さんは、オペレッタの魅力を伝えたいと1982年に大阪市で協会を立ち上げ、30年余りの歴史で58回の公演を行った。しかし、体調不良により2014年に活動を休止。向井さんは2022年に92歳で亡くなった。
向井さんの死後、1990年代から協会に関わり、後に引き継ぐことになる指揮者の井村誠貴さん(55)が中心となり、追悼コンサートを企画。かつての仲間たちから「向井先生が残したものを存続させたい」との声が上がり、井村さんは不安を抱えながらも引き継ぐことを決意した。
新たな拠点と課題
井村さんは2024年に理事長に就任し、楽団の運営を開始。運営は容易ではなく、会員の年会費だけでは公演費用や衣装・道具の保存・補修が難しい。そこで、協会の事務所を自宅がある堺市に移し、年に1回の大規模公演をフェニーチェ堺で実施できるよう施設と協力関係を構築。今回の公演では資金の一部をクラウドファンディングで調達した。
現在、新たな協会には関西地方を中心に200人を超えるメンバーが集まっている。「メリー・ウィドウ」は向井さんの時代から数えて60回目の記念公演で、6月6日と7日に開催される。公演では、プロのソリストやアマチュア愛好家、外部から招くオーケストラ「ムジカフィルハーモニー管弦楽団」など総勢約100人が出演し、一体となって舞台を作り上げる。
未来への展望
井村さんは「それぞれの立場の人たちが活躍できる機会を大切にしたい」と語り、今後の発展について「音楽としてのクオリティーを上げていきたい。若い人たちにとって登竜門のような場所になってほしい」と展望を述べた。
公演は6日午後6時、7日午後2時開演。入場料は7500円。堺市在住の小中学生を対象に、両日とも先着100人を無料招待する。保護者の同伴(要入場料)が必要で、招待は1家族4人まで。未就学児は対象外。応募はQRコードから。



