連載:皇室365 現場から皇后さまが声を上げた人気メニュー 商店街に和やかな空気が広がった
2023年6月4日、天皇、皇后両陛下が岩手県大船渡市の復興商店街「キャッセン大船渡」を訪問された。東日本大震災の津波で被災した市の中心部に位置するこの商店街で、両陛下は復興に向けて努力する商店主らに温かい言葉をかけられた。あれから3年が経過した今、病を抱えながらも皇后さまからかけられた言葉を胸に、懸命に働き続ける女性がいる。
両陛下の岩手訪問 復興商店街での交流
即位後、両陛下が東日本大震災の被災地を訪問されるのはこれが初めての機会だった。午後には陸前高田市で開催された全国植樹祭に出席される予定があり、その前にキャッセン大船渡に立ち寄られた。キャッセン大船渡は、震災前から大船渡地区にあった店舗を含む約30のテナントが集まる商店街である。両陛下は震災直後の2011年8月にも大船渡市を訪問し、応急仮設住宅で暮らす住民と交流されていた。12年ぶりの再訪に、ご夫妻を一目見ようと多くの人々が商店街の周囲や沿道に集まり、到着を待ちわびた。
カフェ店主が語る 皇后さまのひと言
商店街で両陛下は、待ち構えていた商店主らと懇談された。その一人、カフェ「Hy's Cafe(ハイズカフェ)」を経営する下舘博美さん(63)が今年2月、電話取材に応じ、当時のやりとりを詳しく語った。下舘さんによると、両陛下の訪問後、しばらくはその話題で持ちきりだったという。下舘さんが振り返る「大船渡を包んだ温かい空気感」とはどのようなものだったのか。下舘さんは当時営んでいたカフェで、両陛下に人気メニューを紹介した。皇后さまがそのメニューに「おいしそうですね」と声を上げられ、周囲に和やかな笑顔が広がったという。このエピソードは商店街の活性化にもつながり、多くの来訪者がそのメニューを求めるようになった。
病を乗り越え 皇后さまの言葉を胸に
下舘さんはその後、病を患いながらも、皇后さまからかけられた「頑張ってください」という言葉を励みに、仕事を続けている。商店街全体が両陛下の訪問をきっかけに結束を強め、復興への歩みを着実に進めている。地元の社会福祉協議会が運営する交流施設「にこにんプラザ」では、協議会の田村福子会長が両陛下との懇談を振り返り、「緊張して何を話しているか分からなくなりましたが、皇后さまが『大丈夫ですよ』と優しく声をかけてくださいました」と語った。
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