任侠電器 第66回
翌日の午前十時に、日村はスギモト電器を再び訪れた。土曜日だったが、電器屋にとって曜日は関係ないだろうと彼は考えていた。
店内には客の姿はなく、先日と同じく社長の妻、つまり昇の母親が店番をしていた。彼女をおかみさんと呼ぶべきかどうか迷っていると、彼女が日村に気づいた。
「いらっしゃい。あら、お客さんかと思ったら……」
「すいません。今日は伊達さんに用があって参りました」
「伊達? ああ、ヒデさんね」
「ヒデさんと呼ばれているんですか?」
「伊達秀明だからヒデさん。なんか、侍みたいな立派な名前よね。それで、何の用?」
「うちの代表が、お話をうかがいたいと……」
「今、蛍光灯を取り替えに行ってる」
「蛍光灯を……? 電器屋さんが、そんなことまでやるんですか?」
日村の常識では、電球や蛍光灯は住人が自分で取り替えるものだった。
「蛍光灯をLEDに取り替えに行ってるのよ。電球みたいに、蛍光灯の器具にそのままLEDを取り付ける人がいるみたいで……。あれ、危ないのよ」
「えっ。そうなんですか?」
「だからね、照明器具ごと取り替えているわけ」
「なるほど」
「意外だけど、これけっこうな収益になるのよ」
「LEDが、ですか?」
日村は驚きながら、電器店の意外なビジネスモデルに感心した。店主の妻は、蛍光灯器具ごと交換することで安全を確保しつつ、利益を上げていると説明した。日村は、伊達秀明が戻るまで店内で待つことにした。



