阿岐本が日村に声をかけ、代表室へと招き入れた。阿岐本は、スギモト電器について昇から聞いた話を持ち出した。
技術者・伊達の存在
「スギモト電器には、技術屋が一人いると、昇さんがおっしゃってたね」と阿岐本が言う。日村は「はい。工事は、その人が一手に引き受けているんだとか……」と答えた。阿岐本は「たしか、伊達さんとか言ったね」と確認し、日村は「そうですね。永神のオジキがそう言ってました」と応じた。
阿岐本は「ちょっと会ってみてえんだが……」と切り出す。日村は「技術屋にですか?」と驚くが、阿岐本は「ああ、そうだ」と頷く。さらに阿岐本は、客足がイマイチだと日村が報告していたことに触れ、他に気づいたことはないかと尋ねた。
日村は「そう言えば、営業車が何度か出かけては戻りしていましたね」と答える。阿岐本は「客より営業車のほうに動きがあったってことだ。その営業車に乗っているのはたぶん、その伊達さんだろうと思う」と推理する。日村も「そうかもしれません」と同意した。
阿岐本の指示と日村の懸念
阿岐本は「話を聞いてみたい」と明確に指示する。日村は「承知しました。ですが……」とためらいを見せる。阿岐本が「何だ?」と問うと、日村は「自分らのような者が、突然会いに行くと、怖がりませんかね?」と懸念を表明した。
阿岐本は「俺たちが昇さんに会っていることは知ってるんじゃねえのか。まあ、嫌がるかもしれねえが、そこはおめえがうまくやるんだよ」と日村に任せる姿勢を見せる。日村は「わかりました」と了承し、オヤジの命令には従うしかないと覚悟を決める。
最後に阿岐本は「じゃあ、俺は家に戻るよ」と言い、日村は「はい。お疲れ様でした」と返して代表室を後にした。



