津市の豪商・川喜田家創業400年記念展 江戸期の八丈島立体模型が初公開
津市を代表する豪商・川喜田家の創業から400年を記念した企画展「伊勢商人の商いと文化」が、同市の石水博物館で開催されています。この展示会では、江戸時代中期に作られた八丈島の立体模型が初めて公開され、歴史的な価値が高い史料として注目を集めています。
川喜田家の歴史と八丈島との深い関わり
川喜田家は江戸時代前期の1626年、後に江戸の一等地となる大伝馬町一丁目に出店して創業しました。戦前の1938年まで300年以上にわたって営業を続けた木綿問屋として知られています。今回の企画展では、川喜田家と東京都・八丈島とのつながりを示す史料が初公開され、その商いの広がりが明らかになりました。
初公開された八丈島の立体模型は、江戸時代中期の1736年から1741年頃に島民によって作られたと推測されています。この模型には船が入港できる港が明示されており、絹織物を運ぶ船員が入港に向けて地形を確認するために、江戸の店に置かれていたと考えられています。
貴重な発見と学術的意義
立体模型は、今回の企画展に合わせて博物館所蔵の史料を点検した際、学芸員の桐田貴史さんによって発見されました。博物館所蔵の文書を確認した結果、川喜田家が18世紀に八丈島の絹織物を取引していたことが判明しました。他の伊勢商人が八丈島と取引した記録はないことから、桐田さんは「立体模型は東京都も知らなかった。江戸時代に作られた立体模型はまれで貴重な史料」と強調しています。
展示では、八丈島から仕入れた絹織物の現物も置かれており、当時の交易の実態を具体的に伝えています。さらに、江戸の店を預かる支配人から川喜田家当主に年1回送られた決算書や、津城下に屋敷を買って進出したことを示す契約書、商売を円滑に進めようと津藩に接近し、元本が戻ってこないことを承知しつつ金を貸していたことを示す文書なども展示されています。
中小企業から大企業への成長過程
桐田さんは「江戸時代前期の川喜田家は江戸の一等地に店を設けたものの、現代でいう『中小企業』だった。川喜田家が『大企業』に成長していく様子を示したい」と語っています。この展示を通じて、川喜田家の商いの拡大と文化的貢献が浮き彫りにされています。
また、川喜田家に伝わる古い貨幣のコレクションも紹介されており、当時の経済活動を垣間見ることができます。企画展は6月7日まで開催されており、原則として月曜日は休館です。入館料は一般500円、学生300円、中学生以下は無料となっています。
この展示は、伊勢商人の活躍と地域経済の発展を理解する上で貴重な機会を提供しています。歴史愛好家や地域文化に関心を持つ多くの人々の来場が期待されています。



