現場から倒産した派遣業者の元幹部が、人材確保の厳しさと大手との格差を語った。人手不足で賃金が上昇する中、人材派遣大手5社が派遣料金でカルテルを結んだ疑いが浮上し、公正取引委員会が立ち入り検査を実施した。拡大を続ける人材派遣業界で、派遣料金の上昇の裏に、大手各社による不当な利益確保の疑いが指摘されている。
倒産件数が過去最多に迫る
信用調査会社の帝国データバンクによると、2025年の人材派遣業者の倒産件数(負債1千万円以上)は80件に達し、過去最多だった2014年の85件に迫る水準となった。派遣する人材の確保難や、賃金上昇に伴うコスト高が経営を圧迫するケースが増えている。
倒産した派遣会社の実情
業績低迷のまま2025年に倒産した東京都内の派遣会社の元幹部は、「人を集めるのにとにかく苦労した」と打ち明ける。この会社は、システム開発を手がける親会社が事業拡大の一環として2021年に設立した。しかし、自社のホームページで人材を募集しても、アクセスは限られ、約4年間で実際に派遣できたのは100人足らずだったという。
「多くの働き手は大手に流れてしまう」と元幹部は嘆く。多くの業種で賃金上昇の機運が高まる中、給料を上げれば人材確保につながると考えたこともあったが、賃上げをした上で会社の利益を確保するには派遣料金を引き上げざるを得ない。しかし、派遣先との価格交渉は難しく、「立ち上げたばかりで実績も乏しかったので」と振り返る。
大手との差を痛感
元幹部は様々な点で大手との差を感じてきた。大手5社のカルテル疑惑を知り、「派遣料金は、あくまで市場での競争による価格だと思っていた。大手が価格調整に及んでもうけを確保していたとしたら良くないし、残念だ」と語った。
新規参入が活発とされる人材派遣業界だが、実際には大手による寡占化が進み、中小企業は厳しい競争にさらされている。今回のカルテル疑惑は、業界の構造的な問題を浮き彫りにしている。



