徳島大研究棟で学生死亡、ドライアイス31キロが原因 安全対策の不備を指摘
徳島市の徳島大学医薬創製教育研究棟で昨年10月、特別研究学生の男性(当時27歳)が酸素欠乏で死亡した事故について、徳島大学は1日、調査報告書を公表しました。報告書は、室内に置かれていたドライアイスの危険性に対する認識の甘さや、必要な安全対策を取っていなかったことが原因と指摘しています。大学は「二度と起こらないよう、適切な取り扱い方法について教育を徹底し、安全管理に取り組む」とコメントしています。
事故の経過
昨年10月20日午前、同棟1階の低温培養室で、男性がうつぶせの状態で倒れているのが見つかり、その場で死亡が確認されました。室内には、19日の電気設備点検に伴う停電を前に、室温上昇を防ぐため、18日からドライアイスが搬入されていました。大学は昨年11月、学長を委員長とする事故対策特別委員会を設置し、学外の有識者3人を含む6人で構成される事故調査委員会が5回にわたり調査・審議を進めてきました。
原因分析
報告書では、室内にあったドライアイス計31キロが全て気化した場合、二酸化炭素濃度が44.3%、酸素濃度が12.2%になると試算。ドライアイスが気化した室内は低温で、さらに酸素濃度が低い環境であった可能性も高く、男性が「入室した時点では、極めて危険な環境にあったと言える」とし、「二酸化炭素中毒、酸素欠乏に陥ったことが死亡に至った原因と強く推測する」と結論づけました。
一方、ドライアイスは日常的に使用される物質であり、危険性への認識が十分ではなかったと指摘。注意喚起の貼り紙掲示や、酸素・二酸化炭素濃度計の設置といった対策が実施されていませんでした。また、昨年度から男性の所属する研究室も低温培養室を使用するようになりましたが、培養室を使うもう一つの研究室に対して口頭のみの伝達で、共用設備という認識が希薄でした。このため、二つの研究室間でドライアイスの設置が周知徹底されていませんでした。さらに、低温培養室の管理責任者になっていた教授は、事故当時まで責任者と認識していなかったといいます。また、ドライアイスの設置を指示した教員も「室内のファンにより換気が行われているものだと考えていた」と述べ、安全管理の問題が明らかになりました。
再発防止策
再発防止策として、計画停電時に保冷目的でのドライアイス使用を全面的に禁止。仮設電源などの代替手段や、実験で使用する場合は貼り紙での危険性の明示などの対策を講じることを強調しました。また、共同で使用する施設については責任者を明確に定め、教職員や学生に利用方法の周知を徹底する必要があるとしています。



