「労働時間規制の緩和は過労死を増やすことにつながる」。過労死で家族を亡くした遺族らが5日、厚生労働省の協議会で、裁量労働制の拡充などに強い懸念を示した。夏以降、政府の議論が本格化する見通しだが、「働き方改革の後退ではなく前進を」と訴えた。
遺族や労使の代表、専門家らでつくる「過労死等防止対策推進協議会」が開かれた。裁量労働で働いていた夫を亡くした「東京過労死を考える家族の会」代表の渡辺しのぶさんは、労災の申請件数が増加していることを指摘。「このような状況で長時間働く人が増えたら過労死が増える一方だ」と話した。
広告大手の電通(現電通グループ)でも過労死問題が表面化しており、遺族らは企業の長時間労働是正が十分でないと批判。裁量労働制の対象拡大は、労働時間の実態把握を難しくし、過労死リスクを高めると懸念を示した。
協議会では、過労死防止のための実効性ある対策として、時間外労働の上限規制の厳格な運用や、労働時間の客観的な把握方法の導入を求める意見が相次いだ。政府は夏以降、働き方改革関連法の見直し議論を本格化させる方針だが、遺族側は「数字上の規制緩和ではなく、労働者の健康を守る視点が重要だ」と強調した。
渡辺さんは「夫は裁量労働制だったため、実際の労働時間が記録されず、過労死に至るまで気づかれなかった。同じ悲劇を繰り返さないためにも、規制緩和ではなく強化が必要だ」と訴えた。



