元大阪地検検事正の北川健太郎被告(66)が準強制性交罪に問われている事件で、被害を訴え、独立した第三者機関によるハラスメント実態調査などを求めていた女性検事が4月30日、大阪地検に辞表を提出した。同日の会見で女性検事は、「検事の仕事が大好きだった」と語り職場復帰を強く希望していたが、「もう耐えられないと思って辞表を出さざるを得なくなった」と胸の内を明かした。
第三者検証の必要性
大阪地検特捜部の証拠改ざん事件後に設置された法相の諮問機関「検察の在り方検討会議」(2010年)の委員を務め、長く司法を取材し、この事件にも注目してきたジャーナリストの江川紹子氏は、第三者機関による検証の必要性を指摘。問題の根底には「自分たちは間違っていないという検察の独善的な体質がある」と批判する。
組織としての対応不足
女性検事はこれまで、第三者委員会による検察全職員に対するハラスメント実態調査などを求めてきたが、法務省も検察庁も応じていない。元タレントによる性加害事案を受けてフジテレビは第三者委を設置し報告書を公表。福井県も前知事によるセクハラ問題を受け、職員を対象とした実態調査を実施するなど、組織コンプライアンスとして客観的に原因や経緯を調査する例が増える中、今回の対応を江川氏は疑問視する。
「地検トップが部下に性的暴行した疑いがある事件で、職場での性暴力被害を訴えている人が、職場で二次加害を受け、職場に復帰できないと改善を求めていた。刑事事件とは別に、職場のあり方としてどうだったのか、労働環境に詳しい弁護士を入れるなど、第三者による実態調査や検証を行うべきだ」と述べる。
検察の独善的体質
江川氏は、この問題だけでなく、検察は一貫して外部の目を入れず、OBを含めた「検察一家」の利益やメンツを守ることを優先してきたと指摘。証拠改ざん事件でも、組織外の第三者を入れることに徹底的に抵抗した。結果として3人の弁護士がアドバイザーとして関わったが、調査自体は検察官が行った。
また、再審無罪が確定した袴田巌さんについても、畝本直美・検事総長は控訴断念時に「到底承服できないものであり、控訴して上級審の判断を仰ぐべき内容」との談話を発表。弁護団から「今も犯人視しており名誉毀損だ」として提訴されている。江川氏は「謙虚さのかけらもなく、問題をきっかけにしてより良い組織に変えようとする意欲もない」と批判する。
人権意識の希薄さ
今回の問題の根底には、人権意識の希薄さや自分たちは間違わないという独善的な体質があると江川氏は指摘。企業は株主による圧力や広告引き上げなど、適切に対応しなければ存続が危ぶまれる側面があるが、刑事事件において起訴・不起訴を決める公訴権を独占する検察がなくなることはない。そうしたおごりもあると述べる。
監察指導部の機能不全
江川氏が委員を務めた「検察の在り方検討会議」の提言で、検察内部での職員の不適正行為に関する情報窓口として監察指導部が設置された。しかし、3月の記者会見で女性検事本人にたずねたところ、今回の問題でまったく役に立たなかったと語ったという。
「個人の問題」という見方への反論
女性検事は性被害や一連の対応について「検察組織の問題」と訴えている。一方、検察内部には、事件の発端となった懇親会は職員有志が集まった私的なもので「個人の問題」であり「業務中のハラスメントと同じではない」という見方をする人もいる。江川氏は、いわゆるフジテレビ問題を検…



