神戸市室内管弦楽団への補助金カット問題、新ホール計画見直しが影響か
神戸市室内管弦楽団への補助金カット、新ホール計画見直しが影響

神戸市室内管弦楽団への突然の市からの補助金カット通告の背景には、楽団の本拠地である神戸文化ホール(神戸市中央区)の建て替え計画があることが明らかになった。

神戸文化ホールの建て替えと楽団の置かれた状況

市営地下鉄・大倉山駅が最寄りの現在のホールは、1973年に開館。大ホール(2043席)と中ホール(904席)を備える。楽団の定期演奏会のほか、リハーサルなどにも使われてきた。

老朽化のため、2028年6月には、新しい大ホール(約1800席)が三宮駅前に誕生する。建設が進む「神戸三宮ツインゲート」(1期)の4~8階に入り、小スタジオ(約280席)も併設する。

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「専属楽団」の計画が立ち消えに

楽団は、新しいホールの「レジデント」(専属楽団)となる予定で、2020年の当初の「整備基本計画」には盛り込まれていたが、今年2月の計画書から、レジデントの文言が消えた。

この件について、久元喜造市長は3月25日の定例記者会見で「(神戸市室内管弦)楽団だけにこれだけの公費を投入するのが芸術文化予算の使い方として適切か、新ホールの開館が迫ってきた時期に改めて考えた」と強調した。

楽団は、現在26人の小規模のオーケストラだ。2000人近くを収容できるような大きな空間で聴かせる編成とはなっておらず、通常、1000人以内のホールが望ましいとされる。鈴木秀美音楽監督(68)も「ステージを埋め尽くすほどの人数で演奏するような楽団ではない。大きなホールではやりづらいのは事実」と語る。

楽団の規模にふさわしい音楽専用ホール(800席)が、建て替えられる市役所本庁舎2号館内に整備される予定だったが、コロナ禍で財政見通しが立たない中、21年に計画が見直しになった。ある楽団員は「納得し得るだけの情報は、いまだ何一つ示されていない状況」と不満を口にし、楽団関係者も「新ホールの計画の邪魔になったから、楽団を切ろう、という話ではないのか」といぶかしがる。

存続、再スタート、解散か…市民も交えた議論

市などは6日、市内で市民参加型のフォーラムを開催する。市担当局や楽団員、一般参加者も交え、楽団への補助金について意見を述べ合う。現状のままか、別の組織として再スタートするのか、あるいは、解散か――。新しいホールの開館を目前にして、議論は待ったなしだ。

大阪音楽大の中村孝義・名誉教授(音楽学)の話「文化を行政の中でどのように位置づけるのかという問いは神戸市に限らず国内全体の課題で、楽団の存廃問題は日本の文化行政の縮図だ。存続には、当事者の演奏家らが主張するだけではなく、市民や自治体に『なぜ社会にとって必要なのか』と言葉を使って根拠や物語をもって説明する力が重要。また、運営する人材の知性や、音楽家の人格も求められている」(青木さやか、村越洋平)

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