経済産業省は5日、総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会を開き、廃炉を決定した原子力発電所について、2040年代までに2~5基、2050年代までに11~14基を建て替える目標案を提示した。この目標は今夏にも関係閣僚会議で正式に決定される見通しである。2011年の東京電力福島第一原子力発電所事故後、政府が具体的な数値目標を示すのは初めてであり、原子力発電の将来像を明確にすることで、人材確保や投資を促進する狙いがある。背景には、人工知能(AI)の普及に伴う電力需要の伸び予測があるが、世界的に原発の建設コストは1基あたり数兆円に高騰しており、国内で建て替えが順調に進むかどうかは不透明な状況だ。
美浜町長の見解
この数値目標の提示を受けて、関西電力美浜原子力発電所が立地する福井県美浜町の戸嶋秀樹町長は5日、記者会見で「中東情勢に直面する中で、エネルギーの安全保障と確保は国の存立に関わる命題である。規模が示されることは、原子力政策を進める上で非常に重要だ」と評価した。戸嶋町長は、美浜原発の新設に向けた調査が進んでいることに触れ、「原子力はエネルギーの安定供給を図る上で必要だ」と強調した。
美浜原発の現状
関西電力は2025年7月、美浜原発の新設に向けた調査方針を発表し、戸嶋町長も容認の意向を示した。地質調査は2025年11月に開始され、2027年3月までにボーリング調査などで地質や地盤を確認する。その後、詳細調査を経て、2030年ごろまでに新設の可否を判断する予定である。戸嶋町長は会見で「調査結果を踏まえて判断する」と述べ、慎重な姿勢を示した。
政府の数値目標は、原子力発電の将来像を示すことで、関連産業への投資や人材育成を促す効果が期待される。しかし、建設コストの高騰や安全性への懸念から、建て替えが計画通り進むかは課題が多い。美浜町では、地元の理解を得ながら、調査と議論を進めていく方針だ。



