連載「正義」の正体「みる・きく・はなす」はいま インタビュー。SNSには大量の情報が漂っており、中には意図を持って流された真偽が不明な情報や、社会に混乱をもたらすことを目的とした情報も含まれている。私たちはSNSで触れる情報にどのような姿勢で向き合えばよいのか。情報システムに詳しい国立情報学研究所の佐藤一郎教授(情報学)に話を聞いた。
SNSで情報を拡散させる仕組み
――SNSで意図的に情報を広げる際に使われる仕組みについて教えてください。
「X(旧ツイッター)では、投稿直後に『いいね』や『リポスト(再投稿)』を多く獲得した投稿を『バズる投稿』と認識し、多くの利用者のタイムラインに表示する傾向があります。この仕組みを悪用し、大量のアカウントを用意して、拡散したい情報を短期間に複数のアカウントから投稿します。その直後、別の大量のアカウントでそれらの投稿に対して『いいね』や『リポスト』を行い、拡散を促進します。特に、世の中に知られていないフェイク情報は人々の驚きを誘うため、さらなる拡散を招きやすくなります」
大量アカウントの作成方法
――どのように大量のアカウントを用意するのですか。
「アカウントは1千個ほど用意されることもあります。これらは、自動化されたプログラムや、人を雇って手作業で作成される場合があります。また、乗っ取られたアカウントや、休眠状態のアカウントを買い取って利用するケースも確認されています」
――フェイク情報を見破るためにはどうすればよいですか。
「まず、情報の発信元を確認することが重要です。公式アカウントや信頼できるメディアからの情報かどうか、アカウントの過去の投稿やフォロワー数などをチェックしましょう。また、複数の情報源で同じ内容が報じられているか確認することも有効です。画像や動画が使われている場合は、逆画像検索などで元の出典を調べることも役立ちます」
――SNSプラットフォーム側の対策はどのようなものがありますか。
「Xでは、不自然な拡散パターンを検知するアルゴリズムを導入しています。また、特定のハッシュタグやキーワードに関連する投稿を監視し、自動的にラベルを付けるなどの対策を進めています。しかし、完全に防ぐことは難しく、利用者一人ひとりのリテラシーが重要です」
――今後の課題は何でしょうか。
「AI技術の進化により、さらに精巧なフェイク情報が作られる可能性があります。そのため、情報の真偽を確かめるスキルを学校教育や社会教育で強化する必要があります。また、プラットフォーム事業者と政府、市民社会が協力して、偽情報対策の枠組みを構築することが求められます」



