ホンダの誤算 最終回:岐路に立つホンダ、活路は創業者の言葉に「苦しい時の知恵」
埼玉県寄居町にあるホンダの完成車工場(2016年、同社提供)。今春、中部地方の自動車部品会社の社長は、ホンダの部品の仕事を受けるか悩んでいた。SUV「ヴェゼル」の新型モデルに採用予定の部品だ。ホンダ向けは生産計画を下回ることが多く、嫌気がさしていた。「ホンダはあまりにも計画からの振れ幅が大きく、コスパが悪い」。実際につくる部品が少なくなれば、多めに人員を確保した分の人件費もかさむ。トヨタ自動車向けの部品もつくってきたが、計画の精度に差を感じていた。
車1台に必要な部品はおよそ3万点。部品メーカーの数は多く、自動車産業は裾野が広いといわれるゆえんだ。完成車メーカーがこうしたメーカーと連携して信頼関係を築くことは、車の安定生産には欠かせない。ただ、ホンダにはその部品供給網に「弱さ」が見えることがある。
EV開発中止と誤算の背景
ホンダは2026年内に発売予定だった電気自動車(EV)の開発中止を決めた。「脱エンジン」戦略を見直し、最大2兆円超の損失を見積もる。危機感を持って進めたはずのEVシフトだが、誤算はどこにあったのか。昨秋、半導体不足が世界の自動車産業を直撃したが、ホンダは特に影響を受けた。さらに中国市場では、BYDなどの地元メーカーが低価格で高性能なEVを投入し、ホンダのシェアを奪った。価格競争力で劣り、技術面でも追いつかれ、かつての主戦場だった中国での存在感が薄れている。
また、ホンダは軽自動車向けの新EVを開発中で、「手の届く」価格を目指している。しかし、部品供給網の不安定さが生産計画に影を落とす。部品メーカーとの連携不足は、計画の精度低下を招き、結果的にコスト増加につながっている。創業者の言葉「苦しい時の知恵」を胸に、ホンダはどのような活路を見いだすのか。今後の戦略が注目される。
関連トピック:ホンダの誤算(全3回)第1回「納車予定だったEV、突然の発売中止」、第2回「中国勢に奪われたホンダのEV主戦場」。



