福井銀行と子会社の福邦銀行が2026年5月2日に合併し、福井銀行の名称に統一される。両行は2021年のグループ化後も独立した体制を維持してきたが、合併により県内で唯一の本店所在地銀行となる。預金・貸出金ともに県内シェア50%を確保する新銀行が、地域金融の中核として始動する。
両行の特徴と相乗効果
福井銀行は大企業や中堅企業を主な取引先とし、課題解決力と組織力に強みを持つ。一方、福邦銀行は相互銀行を起源とし、小規模事業者との親密な関係と伴走力を武器にしてきた。歴史や顧客層は異なるが、同じ地域で競合してきた両行が手を組む。新銀行を率いる福井銀行の長谷川英一頭取は「福井銀の課題解決力と組織力、福邦銀の親近感や伴走力を融合し、顧客に付加価値を提供する」と相乗効果を強調する。
合併に至る経緯
2021年に福井銀行が福邦銀行に出資して子会社化した後、本部機能の統合やATMの共同化など収益改革を進めてきた。しかし、同じ営業エリアに両行の店舗が併存する非効率性を解消するため、合併が不可欠となった。県内の人口減少や銀行間競争の激化も合併を後押しした。両行合わせて83店舗あった拠点を64店舗に集約し、店舗運営コストを削減。その他の効率化も含め、合併で生み出される約60人の人員を営業力やコンサルティング機能の強化に振り向ける。システム統合も含め、4年後には100億円超の効果を見込む。
融和への取り組み
新銀行の発足にあたり、経営陣が最も重視したのが両行員の融和だ。長谷川頭取は「人の気持ちを置き去りにすると組織の合併はできても、人の融合はできない」と語る。「急がば回れ」の精神で、時間をかけて組織風土を再構築した。「営業読本」や「融資読本」などのマニュアルを作成し、合併後に同じ店舗で働く担当者同士がペアを組んで研修を実施。相互理解を深めてきた。
研修の成果
4月中旬、福井銀行本店で両行の若手融資担当者がシステムの使い方や業務フローを確認する研修が行われた。福邦銀行の行員は「福井銀行は堅いイメージがあり最初は不安だったが、丁寧に教えてもらえた」と話す。福井銀行の行員も「一緒にやっていくぞという気持ちが高まっている」と応じ、心の壁は既に取り除かれていた。
取引先への配慮
福邦銀行の取引先には、合併後に融資が受けにくくなるのではという不安もあった。両行の支店長が連れ立って訪問し、丁寧に説明を重ねた。長谷川頭取は「福邦銀行の良さを維持しながら、これまでできなかった課題解決に取り組みたい」と意気込む。
新銀行の課題
合併後、預金・貸出金で県内シェア50%を占める最大手となるが、安穏とはしていられない。金利上昇を受け、県外他行や信用金庫を含めた顧客獲得競争は激化している。長谷川頭取は「安易な競争より、お客様の方向を向いて仕事をすることが大切だ」と語り、両行の歴史と誇りを受け継ぎ、新たな一歩を踏み出す決意を示した。
合併までの歩み
- 2020年3月:包括提携「Fプロジェクト」開始
- 2021年10月:福井銀行が福邦銀行に50億円を出資し子会社化
- 2023年11月:経営統合に関する基本合意書を締結
- 2024年10月:株式交換で福邦銀行を完全子会社化
- 2024年11月:商号を「福井銀行」に統一すると発表
- 2026年5月2日:合併し新銀行が発足



