進む脳科学、恩恵と警鐘「心を制御する自由、プライバシー配慮を」
進む脳科学、恩恵と警鐘「心の自由とプライバシー配慮を」

急速に発達する脳科学の分野で、精神的プライバシーへの配慮がより重要になっているとして、日本学術会議の専門家チームが「見解」を公表した。治療などの恩恵がある一方、自分の心や考え方を自身で制御する「認知的自由」といった権利についての配慮が必要だとしている。

脳科学研究の倫理的課題

見解は「脳科学研究とその臨床応用に関わる倫理的課題」と題され、神経科学や精神医学、哲学の研究者らが5月にまとめたものだ。脳科学の研究では、機能的磁気共鳴断層画像法(fMRI)などの画像化技術が進み、脳の領域ごとの詳しい役割が明らかになってきている。脳への電気刺激によってパーキンソン病を治療するなど、医療応用も進んでいる。

脳波読み取り技術の進歩

さらに、考える時や体を動かす時の微弱な電気的信号を、脳波計で読み取る技術も発達している。複雑な脳波から意思や脳の状態を解析することに長けたAI(人工知能)の進化も重なり、筋萎縮性側索硬化症(ALS)や脊髄損傷で体が動かせなくなった人の意思を伝えるための技術も実現が近づいている。

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AI研究を手がける「アラヤ」は、脳波計を付けてキャラクターを操作するゲームの開発を進めている。医療以外の分野にも広がり、頭皮につけた脳波計から、車や電車を運転する人がどのくらい集中しているかを測ったり、自分で脳波をコントロールしてゲームのキャラクターを操作したりする使い方も国内で研究されている。

倫理的問題とリスク

一方で、人の「心」と密に接する脳からの情報の読み出しや介入が進むことは、これまでにない倫理的な問題を引き起こすリスクもある。能力を高める「エンハンスメント」や軍事利用の可能性も指摘されている。専門家チームは、脳科学に関わる問題と対策案をまとめ、認知的自由やプライバシー保護の重要性を強調している。

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