東京都教育委員会は5月28日、都立学校に独自に配備している生成AI(人工知能)「都立AI」について、授業以外の校務での活用マニュアルを初めて策定し、各校に配布した。このマニュアルは、教員の業務負担軽減と働き方改革を目的としており、推奨される使用例を示す一方で、禁止事項も明記して注意を促している。
都立AIの背景と現状
都立AIは、2025年5月から全都立学校の児童・生徒や教職員がパソコンやタブレット端末から利用可能となり、主に生成AIの使い方を学ぶ授業で活用されている。しかし、授業以外でも保護者向け案内文や学校ホームページの記事作成、議事録の要点整理などに既に利用されており、今回のマニュアル策定により、より効果的かつ安全な活用が期待される。
マニュアルの推奨事項
都教委がまとめたマニュアルでは、部活動や進路指導など12のケースでの補助的な活用を想定している。具体的には、以下のような活用を推奨している。
- 児童・生徒の観察所見や推薦文の下書き作成
- 教師からの質問に対する児童・生徒の反応のシミュレーション(想定実験)
- 情報や発想の整理、たたき台の作成
これらの活用により、教員の業務効率化と創造的な作業の時間確保を目指す。
禁止事項と注意点
一方、マニュアルでは以下の禁止事項を明示している。
- 児童・生徒への評価・評定、指導方針などをすべて生成AIに任せること
- 個人情報や指導・保護者対応の記録など機密性の高い資料を入力すること
また、生成AIが事実に基づかない情報を回答する「ハルシネーション(幻覚)」が含まれていないか確認せずに、回答内容をそのまま使用することも避けるよう強調している。最終的な意思決定は人間が行うべきであり、AIはあくまで補助的なツールとして位置付けられている。
教員の働き方改革への期待
同日には、教員の働き方の抜本的な見直しに向けた有識者会議の初会合も開かれ、教員の校務負担の大きさが改めて説明された。都教委の担当者は「最終的な意思決定を生成AIに委ねてはならないが、補助的なツールとしてうまく活用し、業務負担の軽減につなげてほしい」とコメントしている。今後、各校での活用事例を収集し、マニュアルの改善を図る方針だ。



