迫力ある歌声でミュージカル界を牽引する名優、森公美子さん。周囲を笑顔にする明るいキャラクターでバラエティ番組でも人気を博している。しかし、その人生は決して平坦なものではなかった。オペラ留学での挫折、夫の介護……。そんな逆境でも前を向き続けられたのは、学生時代の恩師が教えてくれた魔法の言葉があったからだ。
恩師との出会い
故郷の仙台市でプロテスタントの中高一貫校に入学した春。校庭では色とりどりのチューリップが満開を迎えていた。赤、白、ピンク――。見慣れた景色に新たな視点を与えてくれたのが、音楽科の恩師だった。
「この美しく輝かしい色彩は、いかにして生まれたのだろう。そう考えた時、私は神の存在を感じました」。敬虔なキリスト教徒でもある先生の言葉が、実は仏教徒で、まだ12歳だった自身の心に響いた理由はわからない。でも素直な感動を伝えると、先生はうれしそうにほほえんだ。「あなたに伝わっただけでも今日は幸せ。私が教壇に立っている意味があったのね」
会話が弾み、将来の夢を聞かれた。当時はDCブーム。ほのかなあこがれから「デザイナーです」と答えると、先生は優しくうなずいた。
恩師の言葉
「夢はたくさん持ちなさい。たくさんあれば、自分に合わないと気付いても絶望せず、次の夢に向かって進めるから」
この言葉は、その後森さんが様々な困難に直面した際に、何度も彼女を支えた。オペラ留学で挫折を味わった時も、夫の介護で心身ともに疲れ果てた時も、「次の夢」を思い描くことで前に進む勇気を得たという。
インタビューで語った恩師の教え
森さんは取材現場でも、こまやかな気配りで周囲をなごませてくれた。インタビューでは、恩師の教えを今でも大切にしていると語る。「夢は一つに絞らなくていい。たくさん持っていれば、一つがうまくいかなくても、別の夢に挑戦できる。そう思うと、気持ちが楽になるんです」
森さんの明るさの根源には、この「夢はたくさん持つ」という哲学があるのかもしれない。読者も、もし今挫折を感じているなら、まずは小さな夢をいくつか書き出してみてはいかがだろうか。



