日本はまじめで丁寧、勤勉な国として知られてきた。しかし労働生産性は主要先進国の中で低水準にとどまっている。世界幸福度ランキングで9年連続首位を守りながら高い生産性を誇るフィンランド発の人材育成会社「PUROSI(プロシ)」の創業者に、幸せと生産性を両立させるヒントを聞いた。
「日本人は十分すぎるほど働いている」
プロシ創業者のノラ・トーグ社長兼最高経営責任者(CEO)は5月29日、朝日新聞の取材にこう話した。「問題は社員ではなく、リーダーシップと組織文化にある」と指摘する。プロシは2024年から日本で事業を展開し、大手コンサルや製造業などで人材育成の研修などを行っている。
共同創業者のサトゥ・アールマン会長も、日本企業には緻密さや組織の一体感など「世界でも例外的な強みがある」と評価する一方、生産性が伸び悩む要因に「プロセスと成果の混同」を挙げる。
「長時間労働や会議への出席自体が目的化」
「長時間労働や会議への出席自体が目的になり、成果につながっているかが問われていない」とアールマン会長。仕事の進め方に重点が置かれ、「その業務は本当に必要なのか」という本質的な問いが不足しているという。
さらに、もう一つの課題として「隠れた才能」が組織に眠っていることを挙げる。日本企業には有能な人材が十分に活用されていないケースが多いという。
AI時代に求められるリーダーシップ
トーグCEOは、AI時代を生き抜くためには、従来の勤勉さだけでなく、創造性や柔軟性が重要だと強調する。「フィンランドでは夏休みが4週間あり、その間にリフレッシュすることで新しいアイデアが生まれる」と話す。
日本でも働き方改革が進むが、単なる労働時間の短縮ではなく、組織文化の変革が必要だ。プロシの研修では、リーダーがメンバーの強みを引き出し、自律性を尊重する方法を教えている。
世界一幸福な国フィンランドの知恵は、AI時代に日本が競争力を高めるためのヒントに満ちている。



