日田杉のバイオリンが市議会議場に響く 独自乾燥技術で強度克服
日田杉バイオリンが議場に響く 独自技術で強度克服

日田杉のバイオリンが市議会議場に響き渡る

大分県日田市の市議会議場で、2026年2月15日、日田杉を使用したバイオリンの演奏会が開催されました。このイベントは、市内の小学生11人と保護者らが参加する「こども議会体験会」のオープニングセレモニーとして、市が初めて企画したものです。普段は政治の議論が行われる議場に、バイオリンの繊細な音色が響き渡り、参加者たちは音楽の魅力に包まれました。

独自の乾燥技術で杉材の課題を克服

バイオリン製作には通常、強度の高い木材が使用されますが、杉材は強度が低いため不向きとされてきました。しかし、日田市の家具メーカー「朝日木工」が、独自の乾燥技術を駆使してこの課題を解決しました。同社は杉材を加工し、長野県のバイオリン工房に製作を依頼。2021年に日田杉を使ったバイオリンが完成しました。この技術革新により、軽量で弾きやすく、共鳴性の高い楽器が生み出されました。

ベートーベンの名曲を披露

演奏会では、大分県出身の長石道子さん(バイオリン)と小町美佳さん(ピアノ)が、ベートーベンの「『春』第1楽章」や「川の流れのように」など、計8曲を披露しました。長石さんは、日田杉のバイオリンを手にしたのは昨年5月以来2度目で、「軽くて弾きやすく、よく共鳴する。前回と比べて響きがより増した気がした」と感想を語りました。この言葉は、杉材の可能性と技術の進歩を象徴するものでした。

地域の文化と技術の融合

このイベントは、日田杉という地域資源を活用し、伝統的な木材加工技術と現代の音楽文化を結びつけた取り組みです。市議会議場という非日常的な空間での演奏は、地域活性化や文化振興の新たな可能性を示しました。参加した子どもたちや保護者からは、音楽を通じて地元の魅力を再発見する機会となったとの声が上がっています。

日田市では今後も、杉材を使った楽器製作や関連イベントを推進し、地域産業と文化の融合を図る計画です。この取り組みが、他の地域にも刺激を与え、持続可能な地域発展のモデルとなることが期待されています。