青年のジャズと人生の転機 朝晴れエッセーが描く夢と挫折
青年のジャズと人生の転機 朝晴れエッセー

二十歳を過ぎたばかりの青年が、雑誌とテナーサックス、そしてわずかな着替えだけを手に、夜行バスで東京へと向かった。長旅の疲れなど微塵も感じさせず、楽器屋の開店時間に合わせて、雑誌に載っていた番号に電話をかける。彼は「今から行く」とだけ伝えた。

夢への第一歩

どれだけその雑誌を読み込んだか、どれほどモダンジャズを愛しているか、そしてどれほど憧れているか――青年は一気にまくし立て、「今日から住み込みで働かせてほしい」と願い出た。店長は手を焼いていたが、横で見ていた店のマネジャーが「使ってあげたら」と水を向けた。こうして、わずか一日で職と宿を確保できたことに、青年は小躍りして喜んだ。

偶然の出会い

住み込みの部屋から聞こえてくるモダンジャズのリズムをたどっていくと、一間もない路地裏に、あの雑誌に載っていたジャズ喫茶があった。憧れのジャズ喫茶が、自分の宿のすぐそばに存在している。ここではすべてが手に入り、すべての夢がかなう――そう確信した。しかし、あるお客さんに出会うまでは。

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衝撃の現実

音楽大学の教授だったその客は、サラリーマンの初任給の五、六倍はするトランペットのマウスピースを口に当てると、一気に三オクターブの音を奏でた。その衝撃に圧倒され、一気に沸き起こる感動の後、いつまでも消えずに残った感情は、打ちのめされた挫折感と、現実を受け入れた諦念だった。

新たな決意

青年は来たときとは逆向きの夜行バスに乗った。迷いは消え去り、家業を継ぐ決心を固める。父が継いだ製麺所は、今年創業百年を迎える。

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