岡本太郎賞に高田哲男氏「FUKUSHIMA5000」 原発事故後の福島を5千枚超で描き伝える
岡本太郎賞に高田哲男氏 福島原発事故後を5千枚で描く (16.02.2026)

岡本太郎賞に高田哲男氏の「FUKUSHIMA5000」 原発事故後の福島を5千枚超で描く

自由な発想で新しい芸術のあり方を追求する作家に贈られる「第29回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)」の入選者が決定し、その作品が川崎市岡本太郎美術館(多摩区)で展示されています。最高賞の岡本太郎賞には、東京電力福島第一原発事故後の「現地」を伝える兵庫県三木市の高田哲男さん(53)の作品が選ばれました。

644点の応募から21組が入選 高田氏の作品が最高賞に

今回の賞には644点の応募があり、21組の作家の作品が入選しました。高田さんの受賞作品は「FUKUSHIMA5000」で、原発事故と廃炉、被災地の除染と復興を題材にしています。この作品は、福島第一原発に近い富岡町を2018年に訪れた際の経験が制作のきっかけとなりました。

高田氏は当時、除染廃棄物を入れた黒いフレコンバッグ(保管袋)が山積みになって広がっている光景を目撃し、強い衝撃を受けたと語っています。「報道されないような場所を歩いた」という言葉通り、原発の周辺地域に通い続けて撮影を重ね、5千枚を超える写真によって事故後の現実を芸術的に描き出しました。

作品が伝える福島の現実と芸術的意義

「FUKUSHIMA5000」は、単なる記録写真を超え、現代社会が直面する課題を深く考察する芸術作品として評価されています。高田氏の取り組みは、災害と復興の過程を個人の視点から掘り下げ、観客に思考を促すものとなっています。

川崎市岡本太郎美術館での展示では、この作品を含む入選作品群が、多様な現代芸術の表現を紹介しています。岡本太郎賞は、従来の枠組みにとらわれない創造性を称える賞として、今回も社会問題と芸術の交差点に光を当てました。

高田哲男氏の受賞は、福島第一原発事故から10年以上が経過した今も続く復興の道のりを、芸術を通じて改めて社会に問いかける機会を提供しています。作品は、被災地の現状と未来への希望を、静かながら力強いメッセージとして伝え続けています。