農地交付金の過大認定問題、会計検査院が返還を要求
会計検査院は2月16日、農地の保全や管理を目的とした国の交付金について、農地が宅地や駐車場に転用されるなど適切な管理が行われていなかったとして、2019年度から2024年度にかけて交付された計2億2120万円を過大な交付と認定しました。農林水産省に対し、返還手続きを進めるよう求める方針を明らかにしました。
詳細な調査で明らかになった問題点
会計検査院は、水路や農道の共同管理を促進する「多面的機能支払交付金」と、生産条件が不利な中山間地域を支援する「中山間地域等直接支払交付金」の二つの制度に焦点を当て、全国17道県440市町村に所在する集落や農業法人など、計1942の事業主体を対象に抽出調査を実施しました。調査対象となった交付金の総額は、2019年度から2024年度までの間に497億円に上ります。
調査の結果、207市町村に属する420の事業主体では、農地が宅地や駐車場に転用されていたほか、樹木が生い茂って荒廃しているケースが確認されました。さらに、217市町村の542事業主体では、水をためるための盛り土がなく、畑や草地よりも交付額が高くなる田の要件を満たしていない状況が判明しました。
市町村の管理不足が指摘される
これらの交付金は、市町村が毎年度、現地の状況を確認し、適切な管理を監督する役割を担っています。しかし、会計検査院の調査によれば、一部の市町村ではこの確認作業が怠られており、問題の発見が遅れた可能性が高いとされています。
農林水産省農村振興局は、今回の指摘を受けて、「交付金の返還手続きを適切に進めるとともに、各市町村に対して現地確認の徹底を強く求めていく」とコメントしています。この問題は、農地保全政策の実効性を問う重要な事例として、今後の制度見直しにも影響を与える可能性があります。
会計検査院の発表は、公的資金の適正な使用を確保するための監視機能の重要性を改めて浮き彫りにしました。農地転用や管理不足が全国的に広がっている実態は、農業政策の課題としても注目されるべきでしょう。