岡山国際スケートリンクが育むアイスダンスの未来 吉田唄菜選手の基礎を築いた拠点
岡山国際スケートリンクが育むアイスダンスの未来

岡山国際スケートリンクがアイスダンス育成の新たな拠点に

ミラノ・コルティナ冬季オリンピックのフィギュアスケート団体戦で銀メダリストとなったアイスダンスの吉田唄菜選手(22歳)は、その華麗な演技の基礎を岡山国際スケートリンク(岡山市北区)で磨き上げた。このリンクが今、海外で豊富な経験を積んだコーチ陣による独自の指導体制で注目を集めている。

「国内で育てられないはずがない」という信念

アイスダンスは、男性が女性を持ち上げるリフトや、並んで高速回転を行うツイズルなど、ダイナミックな技が要求される競技である。一般客やシングルスケーティングの選手と共用するリンクでは、こうした特殊な練習がしにくく、これまで多くの選手が練習拠点を海外に求めてきた。

しかし、約20年前に元アイスダンサーの有川梨絵さん(45歳)をコーチとして迎えた岡山国際スケートリンクは、一般営業時間中でもアイスダンスの技を練習できる環境を整備。有川さん自身、現役時代は海外を拠点としていたが、「日本には各地に優れたリンクがあり、素晴らしい選手も数多く存在する。国内で育てられないはずがない」という強い信念を持っている。

世界のトップダンサーから学んだ指導法

このリンクの指導陣には、世界のトップダンサーが集うカナダ・モントリオールで技を磨き、数々の国際大会に出場した立野在さん(28歳)が加わっている。立野さんは2022年に引退後、有川さんのアシスタントに就任。異国での経験を活かし、「どの年齢の選手とも対等な関係で会話をするよう心がけている」と語る。

さらに、立野さんは自ら選手を持ち上げて技を実演することもあり、「実際にやってみせることで、コツやタイミングの習得に役立てば」と指導への熱意を語っている。

海外経験を国内に還元する思い

北京冬季オリンピックのアイスダンス代表として団体戦の銀メダル獲得に貢献した小松原美里さん(33歳)も、長い海外生活を経て2024年に出身リンクである岡山国際スケートリンクに指導者として戻ってきた。「本当は大好きな日本に拠点を置きたかった」と明かす小松原さんは、「ここで習う子どもたちに技術を還元し、もっと国内で切磋琢磨できる環境を作りたい」という強い思いを抱いている。

三人の「いいとこ取り」で進化するチーム

有川さんは近年、「頼られるばかりの立場になっていた」と感じ、自身とチームのさらなる成長を目指して立野さんと小松原さんを指導陣に迎え入れた。「二人は私にしっかり意見を言ってくれる。チームでは三人の経験の『いいとこ取り』をしています」と強調する。

このように、海外での貴重な経験を積んだコーチ陣が、それぞれの強みを活かしながら協力し合うことで、岡山国際スケートリンクは国内アイスダンス育成の新たなモデルケースとして進化を続けている。吉田唄菜選手のような世界レベルの選手を輩出した実績に加え、次世代を育てる環境が整いつつある。