ミラノ・コルティナ五輪でウクライナ選手が追悼ヘルメット着用で失格、IOC会長が複雑な思いを吐露
2026年ミラノ・コルティナオリンピックのスケルトン男子競技において、ウクライナ代表のウラジスラフ・ヘラスケビッチ選手(27歳)が失格処分となった問題について、国際オリンピック委員会(IOC)のカースティ・コベントリー会長が13日の記者会見で詳細な説明を行いました。
IOC会長が選手と父親との対話を明かす
コベントリー会長は、レース前にヘラスケビッチ選手とその父親と約20分間にわたって話し合ったことを明らかにしました。会長は「規定が存在する理由については理解してくれたが、彼らの思いは貫くとのことだった」と述べ、選手側の強い意志を認めつつも、「レースに臨んでほしかったが、規定は曲げられない」と、決定に至った苦渋の選択を語りました。
政治的メッセージを禁じる五輪憲章に抵触
問題の発端は、ヘラスケビッチ選手がロシアによる侵略で命を落としたウクライナ選手たちの写真をあしらったヘルメットを着用しようとしたことです。この行為は、競技場内での政治的メッセージなどを禁じる五輪憲章およびIOCの規定に抵触すると判断されました。練習中にそのヘルメットを着用する姿が報じられ、国際的な注目を集めていました。
スポーツ仲裁裁判所が提訴を受理
一方、スポーツ仲裁裁判所(CAS)の臨時支部は12日、ヘラスケビッチ選手からの提訴を受理したことを明らかにしています。この決定により、法的な手続きが進む可能性があり、今後の展開が注目されます。選手側は規定に反する意図はなく、追悼の意思を示すための行動だったと主張しているとみられます。
この事件は、オリンピックにおける政治的中立性と個人の表現の自由の狭間で生じた難しいケースとして、国際社会で議論を呼んでいます。コベントリー会長の説明からは、IOCとしても選手の心情に寄り添いながらも、組織としての原則を守らなければならないジレンマが浮き彫りになりました。