潜水死亡事故を乗り越え「歩み続ける」 長生炭鉱遺骨捜索の継続表明
山口県宇部市の海底炭鉱「長生炭鉱」において、太平洋戦争中の水没事故犠牲者の遺骨を捜索中に発生した台湾人男性ダイバーの溺死事故を受け、捜索・調査を担ってきた民間団体は2026年2月13日、活動を継続する方針を明らかにしました。この決定は、亡くなったダイバーの遺族から継続を望む意向があったことを受けたものです。
事故の経緯と遺族の意向
事故は2026年2月7日に発生し、台湾人のダイバーである徐巍さん(当時57歳)が潜水作業中に溺死しました。徐さんは、長生炭鉱で戦時中に水没事故で亡くなった犠牲者の遺骨捜索に従事していました。民間団体「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」の井上洋子代表は、同日にホームページに掲載したコメントで、遺族が「活動を続けていただきたい」と述べたことを紹介し、「とどまることなく歩み続ける」と活動継続の方針を示しました。
長生炭鉱の歴史と捜索活動の背景
長生炭鉱では、昭和17年(1942年)に発生した水没事故により、朝鮮人を含む183人が死亡したとされています。この悲劇的な事故は、太平洋戦争中の炭鉱災害として歴史に刻まれており、犠牲者の遺骨は長年にわたり海底に眠ったままとなっていました。「刻む会」は、この遺骨の捜索と回収を目的に活動を続けており、昨年8月と今月6日には頭蓋骨などの人骨を回収する成果を上げています。
今後の活動方針と課題
井上代表は、活動継続の方針を表明した一方で、ダイバーの潜水作業を今後も続けるかどうかについては明らかにしていません。これは、安全面への配慮や、事故の再発防止策を検討しているためとみられます。団体は、遺族の意向を尊重しつつ、犠牲者の記憶を後世に伝える使命を果たすため、慎重に活動を進めていく姿勢を示しています。
この決定は、歴史的悲劇の解明と慰霊に向けた取り組みが、困難を乗り越えて継続されることを意味します。長生炭鉱の遺骨捜索は、戦争の記憶を風化させないための重要な活動として、今後も注目を集めることでしょう。